京都府提案への反論と地域医療提供体制への提言

京都府保険医協会は2010年2月22日、「京都府提案への反論と地域医療提供体制への提言」(PDFファイル)を発行しました(メディペーパー京都2月号付録)。  同提言は、京都府が2009年1月に国保一元化を含む提案を行ったことをうけて、医療制度検討委員会で検討してきたもので、「地域医療提供体制への提言」「京都市の医療提供体制の課題と対応策」「京都府提案への反論」の3部からなっています。

 

【本誌/はじめに】から

私たちは、歯止めのかからない医療崩壊に直面し、あらためて、いつでも、どこでも、だれでもが、保険で良い医療を受けることのできる国民皆保険制度の重要性を痛感している。
京都府は2008年4月に「健やか長寿の京都ビジョン」(京都府保健医療計画)、2009年1月に「住民への健康医療政策の更なる充実に向けた検討課題について(提案)」を公表した。

京都府が京都の医療の現状をどのようにとらえ、またどうしていこうと考えているのかを知る基本的な文章である。私たちは、これらが地域の医療実態 や医療要求を的確に反映して作られたものとはなっておらず、地域医療の困難を解決するものとはなっていないと考えている。その立場から私たちは、行政の公 表する文書を含め、多くの資料に目を通し、また府内各地の医師への聞き取り調査を行い、京都府が行うべき、府民のための医療行政とは何かを提言する必要が あると考え、「京都府提案への反論と地域医療提供体制への提言」(以下「反論と提言」)をまとめた。

本「反論と提言」は3部構成になっている。

第1部は地域医療提供体制への提言である。最初に提言・京都府の医療政策へ「8つの要望」―府医療政策の基本姿勢について―をまとめた。私たちが 京都府の医療政策に求める内容の全体像である。以下、本提言に至る検討内容を記載した。京都府の医療提供体制の実態を医師数、医療機関数、二次医療圏から 分析した。特に医療崩壊に直面する二次医療圏で早急に解決すべき課題を重視して整理した。

第2部は京都市の医療提供体制の課題と対応策をまとめた。京都府の地域保健医療計画の策定経過において、京都市の課題が十分に反映されていないと 考えられること、一方で医師数、医療機関数に恵まれているとされる京都市内で、地域医療は円滑に営まれていると言えるのか、との問題意識に立ち、4疾病5 事業を軸として各論的にまとめた。

第3部は京都府提案への反論として、2009年2月の京都府提案の背景や意図しているところにつき批判的に検討したものである。

なお全体がきわめて膨大なものとなったため、冒頭に概要を付した。
今後、私たち現場医療者側の視点でまとめた「反論と提言」をもとに、京都府の医療提供体制がさらに充実していくように取組を広げていきたいと考えている。 地域の医療現場に生じている課題を十分に汲み尽くせていない点もあると思われるが、その点はご容赦いただきたい。医療行政関係者や住民の方々、また地域医 療に携わる多くの人たちのご意見をお寄せいただいてさらに補強していければ心強いばかりである。

京都府保険医協会
政策部会・医療制度検討委員会

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