会員アンケート「これ以上医療機関に負担を強いる医療DXにかかる制度改定が実施された場合、医業を継続できますか?」結果報告

医療DXについては「推進に関する工程表」が内閣官房から示されているところです。

主なものとして、

(1) 電子処方箋を2025年から概ね全ての医療機関で導入

(2) 本年2023年中に電子カルテ情報共有サービス(仮称)を整備、2025年から検査値、アレルギー、薬剤禁忌、傷病名等を共有

(3) 診療報酬改定DXとして、2025年から共通算定モジュール(クラウド型レセコン)の提供開始

(4) 『全国医療情報プラットフォーム』構築のため2025年から標準型電子カルテの提供開始(共通算定モジュールと一体的に提供)

(5) 2024年4月以降、光ディスク等で請求する医療機関にオンライン請求を義務付け

-があります。

(1)、(2)、(3)、(4)は現在任意の対応ですが、「義務化」を危惧する声が聞かれます。

京都府保険医協会では、会員に対して、アンケートを実施しました。

上記のような医療機関に負担を強いる医療のデジタル化にかかる制度改定が実施された場合、医業を継続できると考えられますか」との質問に対して、「①おそらく継続できる」39.4%、「②継続する自信がない」35.7%、「③分からない」24.9%となりました。

年代別に見ると、高齢会員程②③の回答が多くなっています。

「継続する自信がない」「分からない」と回答した方に、継続できないと思う理由は何か質問(複数回答可)したところ、「年間保守料がかかりすぎる」66.4%、「自分自身が、医療DXの理解、IT機器の操作が不得意」64.2%、「対応する診療報酬が購入・運用の費用に見合っていない」62.7%、「『全国医療情報プラットフォーム』の構築等、患者の個人情報収集の政策に共感できない(支持しない)」58.2%等となっています。

電子カルテ購入費用は平均293.5万円※、中央値300万円、年間保守料は平均51.1万円※、中央値48万円、レセコン購入費用は平均176.6万円※、中央値167.5万円、年間保守料は平均23.8万円※、中央値20万円、オン資購入費用は平均45.1万円※、中央値42.9万円、年間保守料は平均5.6万円※、中央値4万円と、多大な負担となっていることが分かります(※極端な回答を排除するため上下1割の回答を除外)。

最後に医療DXについて、当会や保団連に望む活動を質問したところ、「電子処方箋を概ね全ての医療機関で導入させることの阻止」65.4%、「標準型電子カルテ(共通算定モジュールと一体的に提供)の使用強制の阻止」57.8%、「医療DXへ対応する診療報酬の点数化・引き上げ」55.9%、「『全国医療情報プラットフォーム』への検査値、アレルギー、薬剤禁忌、傷病名等の入力の強要の阻止」54.0%等となっています。

なお、「医療DXへの対応に不安を感じている医療機関へのサポート」50.7%との意見も多く、不安を感じている会員が多いことも明らかです。

この結果を踏まえて、1月18日、要請書をデジタル大臣等に対して結果を添付して提出しました。

会員アンケート「これ以上医療機関に負担を強いる医療DXにかかる制度改定が実施された場合、医業を継続できますか?」結果

医療DX は真に国民の命と健康、医療の発展及び医療機関の経営効率化に資するもののみを推進すること、資格確認・請求・審査に関する業務負担を医療担当者へ押し付けることは止めること-等を求める要請書

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