OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの動向

OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しについて、12月24日の「大臣折衝事項」は「OTC医薬品の対応する症状に適応がある処方箋医薬品以外の医療用医薬品のうち、他の被保険者の保険料負担により給付する必要性が低いと考えられるとき」は「別途の保険外負担(特別の料金)を求める新たな仕組みを創設し、「令和9年3月」に実施すると書いてます。対象となる薬剤は「77成分(約1,100品目)」で、薬剤費の4分の1に特別の料金を設定するとしています。

薬剤リストについては全国保険医団体連合会のホームページでアップされています。

【OTC類似薬の自維合意】薬剤費の25%の上乗せされる薬剤(77成分1100品目)

さらに令和9年度以降に「将来、OTC医薬品の対応する症状の適応がある医療用医薬品の相当部分にまで対象範囲を拡大することを目指す」といい、「特別の料金の対象となる薬剤費の割合の引き上げについても検討する」としています。

以上の内容は、厚生労働省の「第209回社会保障審議会医療保険部会 第9回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」(2025年12月25日開催)の資料からも確認できます。

厚生労働省ホームページ 

薬剤費の追加負担分である「1/4」は保険給付から除外=「自由診療」部分となります。したがって消費税10%上乗せとなるものとみられます。「自由診療」であるということは即ち「混合診療」にあたります。これに対応すべく国は、保険外併用療養費制度に新たな類型を設けることを検討している模様です(法改正が必要)。

新たな保険外併用療養費の類型を作る場合、どんな理屈で線を引くのかが極めて重要です。仮に「他の被保険者の保険料負担により給付する必要性が低いと考えられるとき」を新たな仕組みの対象にするとなれば、将来的に「軽症」患者が診療を受けた場合は、薬剤費のみならず総じて「追加負担」を求める仕組みに活用される危険性さえあるのではないでしょうか。

OTC類似薬の保険給付除外問題は、医療保障の仕組みとしての国民皆保険の中核である「療養の給付」に大穴を空ける重大な一歩となる危険性が高まっています。

引き続きこの問題に注視し、国に対する必要な要請を行っていく必要があります。

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