緊急会員アンケート「OTC類似薬の保険外し、 OTC薬処方時の技術料の選定療養化」の結果

医薬品の保険給付に係る制度について、以下の自民党・公明党・日本維新の会の三党協議での合意や、財務省・財政制度等審議会により、次の3つの見直しが検討されています。

(1) OTC類似薬(保険薬)を保険給付から除外する。日本維新の会の提案では、具体的な薬剤名として28有効成分が挙げられました。

(2) 保険診療とOTC薬(市販薬)の処方の組み合わせが混合診療にならないように、技術料(初・再診料や処方箋料)を選定療養として保険給付する。

(3) 海外2か国以上でスイッチOTC化されている薬のうち、日本でスイッチOTC化されていない医療用医薬品約60成分を2026年までにOTC化する。検査薬のOTC化も進める。

これらの施策が導入されれば、保険給付の範囲が縮小されるとともに、プライマリケアを担う保険医の保険診療、経営にも大きな打撃になることは必至と考えられたため、京都府保険医協会の会員でFAX登録のある方にアンケートを実施しました。

実施期間:2025年7月2日~7月18日

対象者数:送信件数1505件/回答者数198/回答率13.2%

公表日:2025年7月31日(7月28日の定期総会で一部公表)

1.自民党・公明党・日本維新の会の三党協議で、日本維新の会はOTC類似薬(保険薬)を保険給付から除外する具体的な薬剤名として28の有効成分を示しました。6月6日にはOTC類似薬の保険給付のあり方の見直しについて三党合意も交わしています。OTC類似薬の保険外しについて、どう思うか質問したところ、「反対」が67.7%でした。

2.25年5月27日、財務省・財政制度等審議会は「春の建議」の中で、保険医がOTC薬(市販薬)を処方した際の技術料の選定療養化の検討を進めるべきと主張しました(保険診療で市販薬の処方箋を発行することは、現状では混合診療となり、できないため)。このように選定療養の拡大により保険給付が縮小されることについて、どう思うか質問したところ、「反対」が65.2%でした。

3.財務省・財政制度等審議会の「春の建議」では「症状が長期に安定している生活習慣病患者の医薬品(降圧剤等)・検査薬(編注:抗原検査キット等が想定)のスイッチOTC(市販薬)化を進める」ことを主張しています。三党合意でも医療用医薬品約60成分を26年までにOTC化する「取組を着実に進める」としています。スイッチOTC化の推進について、どう思うか質問したところ、「反対」が74.2%でした。

4.「OTC類似薬の保険外し」及び「スイッチOTC化の推進」の方針は「骨太の方針2025」にも盛り込まれ、正式な政府方針になりました。国は現役世代の保険料軽減等を理由に挙げていますが、厚労省は保険薬の3割負担額とOTC薬(市販薬)を購入する場合を比べると負担額が10倍近くに増えるケースもあるとの試算を示しており、トータルとしての患者負担は増大する可能性が高いです。「セルフメディケーションの推進」という言葉を用いて患者負担増が狙われていることについて、どう思うか質問したところ、「反対」が71.2%でした。

5.OTC薬(市販薬)の服用・使用により、副作用や重症化する等して来院した患者がいるか質問したところ、「いる」が40.4%でした。「いる」と回答された方に、どのような市販薬だったか、質問したところ、総合感冒薬57.5%、鎮痛剤50.0%、鎮咳薬31.3%、外用薬(湿布薬、パップ剤等)25.0%等の回答がありました。

6.OTC薬(市販薬)で、患者の自己判断による服薬に危険を感じる医薬品はあるか質問したところ、「ある」が77.3%でした。「ある」と回答した方に商品名を質問したところ、16人が「ロキソニン(ロキソプロフェン)」、6人が「NSAIDs」、5人が「メジコン」をあげました。また、OTC薬の具体的な危険性について質問したところ、「NSAIDsは妊婦、腎機能が悪い人、COVID-19、インフルエンザの患者には良くない」が73.9%、「オーバードーズを誘引しかねない(ブロン液等)」が73.2%、「個々の商品ではなく、患者の自己判断、自己診断による服用で重篤な疾患の診断が遅延する」が70.6%等の回答がありました。

25年7月31日に協会会議室でマスコミ向け記者発表を開催。NHK京都が夕方のニュースで概要を報道しました。

アンケート結果の報道向けスライド

アンケート結果の詳細

当日の模様(協会youtubeチャンネル)

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