2022年6月、日本医療機能評価機構は「医療事故情報収集等事業」の第69回報告書を公表し、「患者間違いに関連した事例」が分析テーマとして取り上げられております。
今回、患者にモノを投与する/使用する/渡す際に発生した事例を取り上げ、そのうち薬剤に関する事例について分析を行っており、薬剤を患者に投与する/渡す際のポイントについて以下のように掲載しています。
・薬剤を患者に投与する/渡す際に発生した事例には、患者を間違えた事例、薬剤を間違えた事
例があるが、いずれも患者と薬剤のミスマッチが生じた事例である。
・基本的な手順として、投与直前に患者の氏名と薬包や注射ラベル等に記載された患者氏名が一
致しているかを照合することが必要である
・患者に名乗ってもらうという手順が遵守されていない事例が多いのは、名乗ってもらうという
方法自体が難しい可能性が考えられ、その要因を明らかにする必要がある。
・認証システムを導入している医療機関もあるが、使用しなかった、あるいは使用したが適切で
なかったことにより発生した事例が報告されていた。認証システムを使うことの意味を理解し
て活用することが重要である。
・患者氏名の確認は、患者に名乗ってもらう、ネームバンドを見る、ベッドネームを見るなど様
々な方法があるため、現場ではわかりにくくなっている可能性がある。また、薬剤側の患者氏
名も、処方箋と薬包や、注射指示と注射ラベルなど、見るべきものが様々であることが、ルー
ルの徹底が難しくなっている一因ではないかと思われる。具体的に、何と何を見て、何と何を
照合するのかをマニュアル等で示すとよい。
・改善策に「投与直前に5Rを確認する」「6Rを徹底する」などが挙げられている事例が見受けら
れるが、薬剤の準備から投与までの業務工程において、いつ何を確認するのかを整理すると、
無駄がなく漏れのない確認につながると考えられる。 など
詳細は下記URLをご覧ください。
https://www.med-safe.jp/pdf/report_69.pdf
(公益財団法人日本医療機能評価機構医療事故防止事業部)