日本医療安全調査機構は3月28日、「医療事故の再発防止に向けた提言(第16号)」として「頸部手術に起因した気道閉塞に係る死亡事例の分析」を公表しました。
提言1:頸椎前方固定術、甲状腺切除術、頸部リンパ節郭清術などの頸部術後は、静脈還流障害
に伴う喉頭粘膜浮腫により、窒息に至る危険性があることを認識する。特に、後出血が
起こると窒息のリスクが高まる。
提言2:喉頭粘膜浮腫により気道狭窄が進行しても、急変直前まで SpO2 は低下しない。呼吸回
数の増加と頸部聴診で喘鳴や狭窄音の有無を併せて観察する。
提言3:頸部術後は「頸部腫脹」の有無とともに、気道狭窄の徴候として「息苦しさ」、「痰の
からみ」、「飲み込みにくさ」、「創部痛の増強」などの訴えや、「頻繁な体位変換」
や「不穏状態ともとられる体動」などを観察する。
提言4:医師は、頸部術後の気道狭窄の徴候について、観察項目と報告基準を明確に指示する。
医療機関は、頸部術後を担う医療チームが気道狭窄の徴候に迅速な対応ができる体制を
作る。
提言5:頸部術後に頸部の腫脹や頸部周囲径の増大を認め、血腫による気道狭窄を疑う場合に
は、即開創し、血腫除去術を実施する。呼吸状態が改善しない場合に備え、同時に外
科的気道確保の準備も進める。
提言6:頸部術後に気道狭窄が進行している場合には、気管挿管が困難であることが多い。気管
挿管が困難な場合は、ためらわず外科的気道確保を実施する。
提言7:頸部手術を行う医療機関は、緊急外科的気道確保が可能な体制を整備する。
詳細は、下記URLをご参照ください。
https://www.medsafe.or.jp/uploads/uploads/files/teigen16.pdf
(一般社団法人日本医療安全調査機構より)