京都府保険医協会は2021年8月27日、京都府内の病院を対象に実施した「新型コロナによる施設基準の臨時的取扱いと施設基準管理に係る実態調査」(以下「施設基準実態調査)」)の結果を基に、「『重症度、医療・看護必要度』等コロナ禍における施設基準の特例、経過措置の延長を求める緊急要望書」(以下「緊急要望書」)を取りまとめ、田村憲久厚生労働大臣、中央社会保険医療協議会委員らに提出しました。
******
「施設基準実態調査」は、京都府内の158病院を対象に、8月10日~27日にかけて実施。74病院が回答を寄せ、回収率は47%でした。調査結果からは、コロナ禍は各病院に引き続き影響を与えており、施設基準要件へも引き続き影響を与えていたことが明らかとなりました。
診療報酬の届出施設基準の特例や経過措置期限の延長が認められており、その状況を具体的に尋ねた10項目の施設基準等のうち、「定数超過入院による減額措置」等3項目を除き、半数近くもしくはそれ以上の病院が施設基準に影響する危機的状況にあり、多くの病院が関係する(施設基準の届出が有る)「月平均夜勤時間数」「看護要員対患者割合、正看比率」「平均在院日数、在宅復帰率、医療区分割合等」が含まれていました。実際、コロナ禍の施設基準に与える影響については、9割近い病院が「ある」と回答しました。
一方「コロナ禍で不足しているもの」への回答では、「マンパワー」「気持ちの余裕」が非常に多く、7割を超えました。自由意見でも「ワクチン集団接種へ人員がとられ、職員の確保が難しい」「職員皆、ストレスが溜まっている」との声が寄せられ、限られた医療従事者の取り合いが生じている様子や、医療現場の疲弊ぶりが調査でも明らかとなりました。対照的に「病床」との回答は非常に少なく、ハード面より先に医療従事者というソフト面のニーズが高いことが分かりました。
以上のことから、コロナ禍収束の目途が立たない現状では、少なくとも、現在示されている施設基準の特例や、経過措置期限の延長が継続される必要があり、さらに多くの施設基準においても特例を設ける必要があること。また医療現場への支援や、将来に向けても十分な医療従事者(マンパワー)の確保が必要であること等が示唆されました。
当該「施設基準実態調査」結果はこちら↓↓↓
新型コロナによる施設基準の臨時的取扱いと施設基準管理に係る実態調査結果(20210827)
******
田村厚労大臣らに提出した「緊急要望書」では、「施設基準実態調査」結果に基づき、現在の医療現場では、マンパワーや医療従事者の気持ちの余裕が不足し、コロナ禍の影響で、引き続き平時の施設基準維持が困難な状況にあるとして、以下の5項目の実現を求めました。
一.令和2年8月31日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その26)」で示された、新型コロナウイルス感染症患者等を受け入れた保険医療機関等の施設基準の特例、及び令和3年3月10日付事務連絡「令和2年度診療報酬改定において経過措置を設けた施設基準等の取扱いについて」で示された経過措置期限の延長について、(さらに)延長すること
一.「緊急事態宣言」発令の有無等にかかわらず、あらゆる施設基準について、コロナ禍が収束しない当面の間は要件を満たしているとみなすこと
一.2022年度(令和4年度)診療報酬改定は、コロナ禍における施設基準管理の状況をきちんと検証したうえで行い、医療現場に負担がかからないようにすること
一.将来に向けて、有事にも十分対応できるよう、医療従事者(マンパワー)の確保に最大限努めること
一.新型コロナウイルスに係るリスクコミュニケーションをしっかり行い、結果として医療現場の負担軽減、施設基準への影響軽減に資すること
当該「緊急要望書」はこちら↓↓↓
「重症度、医療・看護必要度」等コロナ禍における施設基準の特例、経過措置の延長を求める緊急要望書
******
コロナ禍収束が見通せない中、新型コロナを含むあらゆる傷病に向き合っていただいているすべての医療従事者の方々に心から感謝申し上げますとともに、今回の「施設基準実態調査」にご協力いただいた、京都府内の病院の方々に心からお礼申し上げます。