公衆衛生行政の充実を求める京都市実行委員会 News2

みせかけの人員増では乗り切れない

公衆衛生行政の充実を求める京都市実行委員会第2回を8月26日に開催しました。

冒頭、保健所・公衆衛生政策をめぐる京都市の現状について意見を交換。市が7月29日に開催した新型コロナウイルス感染症対策本部会議で、8月1日付で保健師の体制見直しを発表し、翌日には「8人増加で体制強化」などと京都新聞で報道されました。しかし実態は、20年3月末まで新型コロナの対応を行ってきた部署を、4月の機構改革で別所属に。兼職をかけたうえで実質的にはコロナ対応を行っていました。それを8月に再び同じ所属に戻したというもの。報告した出席者は「これは増員とは言わず、体制強化には程遠い」と強く批判しました。

また別の出席者は、保健師らの時間外労働について、5月以降、職員の大半が月100時間を超え、月200時間超の職員も複数人いると報告。

現在、PCR検査を受けてから結果が出るまでの間、患者さんに重篤な症状があれば医師の判断で入院もあり得えますが、無症状の場合はいったん帰宅し、結果がでるまでは自宅待機。結果が出るのは早くても検査日翌日で、陽性の場合はそこから保健師らが調査に入ります。感染症を広げないという観点から時間外労働になってしまいますが、そうした業務を少ない人員で回すために、これだけの過重労働が強いられています。いつ誰が倒れてもおかしくない状況の中、出席者から体制崩壊に対する強い危機感が示されました。この問題に対しては、人員増を図ることでしか解決しないと意見が一致。毎年見直される定数条例の縛りや人員増に対する総務省からのプレッシャーをどう跳ね返すかが課題となるとしたうえで、実行委員会として人員増の要求を行うことを確認しました。

一方で、ドライブスルー形式のPCR検査における車の誘導までも、最近まで保健師が担っていました。ようやくアルバイトが雇い入れられましたが、全体的な仕事の中にまだまだ事務的な作業があります。どこまでを事務職、どこまでを専門職が担当するのか、業務スキームの見直しも過重労働解消に向けた課題です。

また、実行委員会では「保健所の抜本的な体制強化を要請するにあたり、市民サービス、あるいは市民の新型コロナへの不安にどう応えられるようになるのかなどを打ち出さないと市民の協力は得られないのではないか」といった意見も出されました。

そもそも新型コロナの行政対応においては、市民の殺到やパニックを懸念して帰国者・接触者外来は非公表。感染した場合の治療スキームも不明瞭で、市民に情報が十分に伝わっているとは言えません。これでは市民の不安が解消されるわけがなく、地域住民に対する時時刻刻の情報発信、予防策の啓発等、もしもの時の対応についてアウトリーチによって理解してもらう取り組みが必要だと確認しました。

さらに、京都市衛生環境研究所への問題にも言及。脆弱な体制などと報道されていますが、保健所と一体となって新興感染症対策が行えるよう、予算措置も含めた要求を行うことを確認しました。

今後は京都市の保健師らに対する聞き取り調査、並行して市民アンケートを実施し詳細な実態把握に努めるとともに、11月1日に開催するシンポジウムで調査結果の発表を行う予定です。

News number 2(2020.8.27)

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