自民党・公明党は、2018年12月14日に与党税制改正大綱を決定。
12月21日に、税制改正大綱が閣議決定されました。
会員に関わる主な内容をお知らせします。
【個人所得課税】
「住宅ローン控除期間の見直し」
<消費税率10%の住宅の取得等(新築、新築・中古住宅の取得、増改築等)をして、2019年10月~2020年末までに入居した者が対象>
住宅ローン控除を受けることができる期間が10年から13年に延長されます。10年目までは、現在の仕組みと同様に毎年末の住宅ローン残高の1%が所得税や住民税から控除されます(控除額は、一般的な住宅は年40万円、長期優良住宅は年50万円が上限)。11年目以降の3年間は、「住宅の取得等の税抜対価の額(上限4,000万円)の2%分を3等分した額」と「年末の住宅ローン残高(上限4,000万円)の1%分の額」とを比べ、金額が少ない方を所得税や住民税から控除できます。
「ふるさと納税の返礼品の見直し」<2019年6月~>
ふるさと納税の対象となる自治体を総務大臣が指定し、返礼割合3割以下、返礼品は地場産品に限定されます。指定されなかった自治体に寄付しても控除が受けられなくなります。
【資産課税】
「個人版事業承継税制の新設」<2019年1月~10年間>
事業に使う土地(400㎡まで)、建物(800㎡まで)、機械等の資産を後継者が承継した場合、その承継した資産にかかる贈与税や相続税の納税が猶予されます。子ども等だけでなく、第三者に承継する場合も対象になります。
2019年4月1日から5年以内に都道府県に事業承継計画を提出し、2028年12月31日までに贈与等により資産を取得し事業を継続することが条件です。
「小規模事業用宅地の評価減の特例の改定」<2019年4月~>
条件を満たした土地の評価額を80%減らし、相続税額を圧縮できる特例において、相続前3年間に事業用とした土地は原則対象外となります。
「教育資金一括贈与非課税措置の見直しと延長」
<2021年3月末まで2年間延長し、2019年4月から見直し>
これまで非課税贈与を受ける子や孫の所得制限はありませんでしたが、合計取得金額が1,000万円以下であることが条件となります。2019年7月からは、23歳以上の子や孫の習い事は、教育資金の対象外となります。子や孫が2019年7月1日以降に30歳に達した場合でも学生などの場合であれば、教育資金管理契約は終わらないこととなります。(最長で40歳まで)。
「結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直しと延長」
<2021年3月末まで2年間延長し、2019年4月から見直し>
これまで非課税贈与を受ける子や孫の所得制限はありませんでしたが、合計所得金額が1,000万円以下であることが条件となります。
「民法改正による成人年齢の引き下げに関する税制上の改定」
<2022年4月1日以降に得た財産にかかる相続税・贈与税に適用>
・相続税の未成年者控除対象年齢の引き下げ(20歳未満→18歳未満)
・相続時精算課税制度等における受贈者の年齢要件の引き下げ(20歳以上→18歳以上)
「民法改正に伴うその他の税制上の措置」
・配偶者居住権(所有権が他者にあっても配偶者が住み続けられる権利)の評価方法の法定
・特別寄与料に対する相続税の課税<2019年7月~(予定)>
【法人課税】
「医療用機器の特別償却制度の見直しと延長」
・高額医療用機器の特別償却制度の適用期限を2021年3月末までの2年間延長
取得価格税込500万円以上の医療用機器を取得した場合、普通償却費とは別に取得価額の12%を特別償却することができる特例制度の期限が2年間延長されます。病院用のCT・MRIについては都道府県の確認が必要になります。
・勤務時間短縮用設備の取得の特別償却の新設(青色申告者が対象)
2019年4月1日から2021年3月31日に取得した場合、取得価格の15%の特別償却ができるようになります。対象となるのは、器具備品・ソフトウェア(1台または1基の取得価格が30万円以上)で、医療勤務環境改善支援センター(京都府では、京都私立病院協会が京都府から受託して運営)の助言を受けて作成する医師勤務時間短縮計画に基づき購入したものです。
・構想適合病院用建物等の取得等の特別償却の新設(青色申告者が対象)
2019年4月1日から2021年3月31日に取得した場合、取得価格の8%の特別償却ができるようになります。対象となるのは、地域医療構想調整会議で合意された病床機能区分別の病床の増減方針に沿った新たな建設・改修で、都道府県の確認を受けたものです。
【消費課税】
「自動車関連の税制」
・自動車取得税のエコカー減税の縮小<2019年4月~9月>
・自動車重量税のエコカー減税の縮小<2019年5月~>
・自動車税の減税<2019年10月~>
・自動車取得税の廃止、環境性能課税の導入<2019年10月~>
<医療に係る措置(抜粋)>
今般の消費税率10%への引上げに際しては、診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補てんのばらつきが是正されることとなる。今後、所管省庁を中心に、実際に補てん状況を継続的に調査するとともに、その結果を踏まえて、必要に応じて、診療報酬の配点方法の見直しなど対応していくことが望まれる。
<今後注目の検討事項(抜粋)>
【社会保険診療報酬に係る非課税措置と医療法人の社会保険診療報酬以外部分に係る軽減措置の存続】
税負担の公平性を図る観点や地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する。