診療報酬改定 NEWS 複数医療機関による訪問診療 支払側は限定的な運用を求める

●11月1日中医協総会 外来医療(その3)
1.生活習慣病の重症化予防について
 生活習慣病指導管理料について、(1)療養計画に検査値の目標、特定健診・特定保健指導の受診勧奨等を記載することや、高血圧ではARBの使用割合が高いことなどから(2)エビデンスに基づく、適切な治療・重症化予防の視点からの管理料の見直しが提案され、診療側・支払側とも了承しました。
 糖尿病透析予防指導管理料の腎不全期指導加算については、対象患者の拡充が提案されました。
 
2.遠隔診療の診療報酬上の評価について
 「遠隔診察は対面診療の補完に過ぎない」という前提条件については、厚労省、診療側、支払側で意見の隔たりはなかったが、評価の方向性については、「まず対面診療と同等のエビデンスが必要」と慎重な診療側に対して、「一定の制限はつけた上で前向きに検討すべき」という支払側との間で温度差が見られました。また、厚労省はCPAP療法について、遠隔モニタリングによる管理について評価の見直しを
検討してはどうかと提案しました。

3.後発医薬品の使用促進について
 後発医薬品の数量シェア目標80%達成にむけて、薬局における後発医薬品調剤体制加算及び医療機関における後発医薬品使用体制加算の算定要件を見直しが提案されました。
 また、一般名処方を推進する方策については、処方せんの「後発品への変更不可欄」を残すべきか削除すべきなどが議論されました。

4.多剤・重複投薬等の適正化について
 薬剤師からの処方提案により医師が処方を変更し、薬剤が減少した場合の評価が提案されたが、「かかりつけ薬剤師の通常業務の範囲内」等新たな評価には消極的な意見が多く出されました。
 分割調剤・残薬調整については、医師の指示事項の明確化や処方箋への記載方法の合理化などといった視点での検討が提案され、支払側からは「薬剤師の判断で残薬調整した後に医師へ報告する仕組みの導入」などを主張しました。
 血行促進・皮膚保湿剤(ヘパリンナトリウム、ヘパリン類似物質)の使用実態(一度に51本超処方あり)、医療用保湿剤の適正使用について議論されました。支払側は、「他の外用薬や抗ヒスタミン薬と同時処方時に保険適用を限るべき」と主張しました。

●11月8日介護給付費分科会
1.居宅療養管理指導
 (1)これまで「同一建物居住者」と「同一建物居住者以外」で単位数を区分していたが、医科診療報酬の在医総管等の評価方法に準拠して単一建物居住者の数で医師だけでなく、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士等も区分する、(2)「特別地域加算」、「中山間地域等小規模事業所加算」、「中山間地域等居住者サービス提供加算」を新設すること等が提案され、概ね了承されました。

2.訪問看護
 これまで同単位数であった要支援と要介護の単位数を区分すること等が提案され、概ね了承されました。

3.通所リハビリテーション
 (1)通所リハ基本報酬の1時間単位への変更、(2)大規模型の報酬引き下げ、(3)各種加算の新設などが提案され、概ね了承されました。

4.訪問リハビリテーション
 (1)訪問リハにおける専任の常勤医師の配置の明確化、(2)診療報酬との調整など基本報酬の見直し、(3)「特別地域加算」、「中山間地域等小規模事業所加算」の新設各種加算の新設などが提案され、概ね了承されました。

●11月8日中医協総会
1.受診時定額負担400床以上に拡大を示唆
 紹介状なしの大病院の受診時定額負担について、▽許可病床数500床以上の医療機関は減少傾向にある▽特定機能病院・臨床研究中核病院は400床以上▽500床以上の病院における紹介状なしの患者比率は2.9%(42.6%→39.7%)の減少―などとして、対象医療機関の範囲拡大の検討について提案しました。

●11月10日中医協総会 在宅医療(その3)
1.併設する介護施設入居者等への診療について
 併設する有料老人ホーム等の入居者等を訪問診療する場合、施設入居時等医学総合管理料等においてそれに見合った新たな評価を設けてはどうかと提案されました。診療側は「医学管理の必要性は同一建物であるかないかで変わるものではない」と反論しています。
 介護医療院については、介護療養型医療施設や介護老人保健施設における取扱いを参考に、医療保険と介護保険に係る給付調整の取扱いを整理してはどうかと提案されました。

2.医療機関とケアマネジャーとの連携について
 末期の悪性腫瘍の在宅患者について、医療機関とケアマネジャーとの間の情報共有・連携等を、在宅時医学総合管理料等の要件としてはどうか提案され、強い反対はありませんでした。

3.看取りについて
 「人生の最終段階の医療の決定プロセスに関するガイドライン」を参考に行われる医療等の提供方針の決定プロセスについて、診療報酬上の位置づけを検討してはどうかと提案されました。支払側は「最終的には、要件化してはどうか」との見解を示しました。
 在宅療養支援診療所等の看取り要件について、最期を入院で看取った場合でも要件に入れられる条件を検討してはどうかと提案されました。診療側は「在宅療養計画書に『最期は医療機関での看取りを希望する』欄を設けてはどうか」と提案しました。

4.複数医療機関による訪問診療について
 主として在宅医療を担う医療機関の医師が、他の医療機関に当該患家への訪問診療を依頼し、当該他の医療機関がそれを実施した場合の評価を設けてはどうかと提案されました。
診療側は歓迎をしているが、支払側は限定的な運用を求めました。
 地域医師会等の協力により、在支診以外の医療機関が他の医療機関と連携して、24時間対応を含めた在宅医療体制を構築し、訪問診療を提供している場合には、一定の評価を検討してはどうかと提案されました。

5.往診料について
 往診料の緊急加算の算定要件とされている病態については、対象患者の要件を見直してはどうかと提案されました。
 往診料の取扱いについて、「患者の求め」の解釈に幅があることから、より適切な運用につながるよう、要件を明確化してはどうかと提案されました。

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