財務省・財政制度審議会財政制度分科会の開催した10月25日の会合で、来年度の同時改定に向け、「診療報酬マイナス2%半ば以上」、介護報酬も「マイナス改定が必要」との方向性が打ち出されました。
新聞でも報じられていたこの話、当日資料をめくってみると次のように書かれています。
〇国民医療費は過去10年間で平均2.5%のペースで増加。このうち、高齢化等の要因による増加は1.2%/年であり、 残りの半分程度は、人口や高齢化以外の要因によるもの。
〇こうした医療費の伸びは、これを賄う雇用者報酬等の伸びを大きく上回り、保険料率引き上げの要因になってきた。
〇医療費の伸びを「高齢化等」の範囲内とするためには、診療報酬一回あたり2% 半ば以上のマイナス改定が必要になる。
また、近年の雇用者報酬の伸びを踏まえても、保険料率の更なる引き上げにつながらないようにし、制度の持続可能性を確保するためにも、少なくともこの程度のマイナス改定とすることが求められる。
厚生労働省の2018年度概算予算要求のうち、年金・医療等にかかる経費は6,300億円でした。
しかし過去2年間を振り返ると何れも自然増は1,400~1,700億円の抑制がはかられ、5,000億円へ圧縮されてきました。
これは骨太の方針2015が打ち出した今後3年間の社会保障費の伸びを毎年5,000億円程度(3年間で1兆5000億円)に抑える方針を着実に実施してきたものです。
今回、マイナス改定方針も、そのための方策として出されたと言えそうです。
2015年の骨太方針が出されたとき、財務省は「自然増」を再定義しました。
曰く、「社会保障関係費の伸びは、高齢化(人口構造の変化)とに伴う伸びとその他の要因(医療の高度化等に伴う
単価増等)に伴う伸びに分かれる。このうち『高齢化に伴う伸び』はやむを得ない増だが、『その他の要因に伴う伸び』に相当する部分は、社会保障以外の経費と同様、制度改革や効率化等に取り組むことにより、伸びを抑制」する。
その上で、「その他の要因」の具体例に「公的保険給付の見直し」「単価」「受療率」「負担」を挙げていました。
今回、財務省が言っている「医療費の伸びを『高齢化等』の範囲内とするため」というのは、まさにその話です。
診療報酬も例外なく、高齢化に伴う伸び以外の増は決して認めない、ということなのでしょう。
総選挙も終わり、同時改定や制度改革へ向け、国が活発に動き出しました。
協会は会員の声・意見を届ける活動を引きつづき、がんばります!