中医協等ピックアップ
<介護医療院の議論始まる>
8月4日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2018年度から新設される介護医療院の議論が始まりました。
介護医療院は1と2の2類型でスタートすることになっており、報酬体系について委員より、1は「現行の療養機能強化型A・B相当」、2は「介護老人保健施設相当とすべき」との見解が示されましたが、支払側委員からは「現行から単純にスライドさせるのではなく、メリハリをつけるべき」との注文が出されました。
人員配置については「2は、より手厚い転換型老人保健施設(介護療養型老人保健施設)相当とすべき」「医療ニーズへしっかり対応できる体制を確保する必要がある」との意見が出されました。構造設備については「円滑な転換を進めるために、建て替えなどまでは『6.4平米の多床室』を認めるべき」との指摘が相次ぎました。
一方、介護療養以外からの転換については、「当初は介護療養からの転換のみとすべき」などの慎重な意見もありました。
<アウトカム導入 クリームスキミングが生じてはいけない>
8月23日の介護給付費分科会では、自立支援へのインセンティブ付与やアウトカム評価によるメリハリ付けを閣議決定や骨太方針で示されていることに対して、「要介護度の改善」のみを指標としたインセンティブ付与などは
好ましくないとの意見で厚労省含めて概ね一致しました。次期介護報酬改定において「自立支援」を評価するためには、まずデータ収集が必要との意見が多く出されました。
<費用対効果評価の制度化に向けてスケジュールを了承>
8月23日の費用対効果評価専門部会では、2018年度からの費用対効果評価の制度化に向けて、10月中に13品目を対象とした試行導入における「評価基準の設定方法」「価格調整の方法」をとりまとめるスケジュールを了承しました。それを受けて、年内(2017年内)に「制度化の骨子」をとりまとめます。懸案の「支払い意思額」調査について、次回以降、調査票案が厚生労働省から提示される見込みです。
<重症度、医療・看護必要度の該当患者割合はどう用いるべきか>
8月24日の入院医療等の調査・評価分科会では、1.一般病棟入院基本料(その2)、2.入退院支援(その2)、3.地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料(その2)が議論されました。
1.一般病棟入院基本料(その2)では、重症度、医療・看護必要度の基準の用い方が7対1と10対1とでは異なっていることと、実際の重症患者の比率が7対1と10対1では差が出ていること等から、評価のあり方の見直しについて議論されました。また、看護必要度のチェック業務負担が大きいことを背景に「既存の他のデータ(例えばDPCデータの様式1やEF統合ファイルなど)での置き換えができないか」という視点に立った分析を行う方針も
出されました。
2.入退院支援(その2)では、退院支援加算の算定対象にある「その他、患者の状況から判断して上記に準ずると認められる場合」の具体例について提示しました。また、入院前・入院早期からの効果的な支援を評価することについて意見を求めました。
地域連携診療計画加算については、改定後に算定頻度が低下したことを受けて、要件緩和を求める意見が出されました。
在宅復帰率については、7対1では転院を評価すべきとの意見や自宅退院を重点的に評価すべきとの意見が出されました。厚労省からは再入院率が高い医療機関があることが示され、再入院率も指標として評価する方向性を示唆しています。
3.地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料(その2)では、入棟前の居場所が、自宅等の場合と急性期病棟の場合では前者のほうが状態が不安定であることが、前回(その1)検討に続いて示されました。それを受けて自宅等からの入院を評価すべきとの意見が出されました。
<看護必要度の該当患者割合で引き続き議論>
9月6日の入院医療等の調査・評価分科会では、1.データ提出加算、2.一般病棟入院基本料(その3)、3.療養病棟入院基本料(その2)が議論されました。
1.データ提出加算では、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟にも規模に応じて一定程度算定が広がりつつあり、義務付け対象範囲について議論されました。義務付け範囲を拡大する意見が多く出され、併せて回復期リハ病棟や療養病棟の入院患者像に着目したデータ項目や入力頻度の検討についても意見がありました。
2.一般病棟入院基本料(その3)では、看護必要度該当患者割合について、現在の評価票に基づく重症患者割合と、診療報酬算定状況に基づく重症患者割合とを比較し、両者の相関性などを検証する方向について、引き続き議論されました。一部の委員からは強い反対意見があったが、多くの委員からは検証を求める声が上がり、厚労省は、「看護必要度の各項目を診療報酬項目に置き換える」ことが目的ではなく、「重症患者割合の把握を、診療報酬の算定状況で行う」ことができないかを確認するものという旨を説明し理解を求めました。
3.療養病棟入院基本料(その2)では、リハビリと在宅復帰率との関係を調べると、「リハビリ専門職を合計1名以上配置する病棟」「リハビリを頻回に行う病棟」で在宅復帰率が高いことが報告され、更に多角的に分析を行うとしました。また療養病棟2の取扱いも次期改定における重要テーマであるが、療養病棟2の状況についても
分析結果が報告され、看護職員の配置や該当患者割合で分布を見ると、いずれも多様で療養2でも、療養1相当の病棟があることなどが明らかとなっています。
<「基本方針」策定議論が始まる>
9月6日の社会保障審議会・医療保険部会では、厚労省から(1)改定に当たっての基本認識、
(2)改定の基本的視点と具体的方向性に関する叩き台が示されました。
基本認識は、
(1)健康寿命の延伸、人生100年時代を見据えた社会の実現
(2)地域包括ケアシステムの構築
(3)医療・介護現場の新たな働き方の実現、制度に対する納得感の向上
基本的視点は、
(1)地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
(2)新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療を実現・充実する視点
(3)医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する視点
(4)効率性・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高める視点、
と、それぞれについての個別の方向性が例示され、これに基づく議論が行われました。
基本方針策定論議は、社会保障審議会の医療部会でも並行して進められ、12月上旬にはまとまる見込みです。