これまでもこのメルマガや京都保険医新聞で報じてきましたが、
2018年度から国民皆保険制度の基礎である「市町村国民健康保険」が都道府県化されます。
実施まで1年を切って、全国的に準備が本格化。京都府も例外ではなく、
6月12日、「国保運営協議会」の第1回会合を開催しました。
国保運営協議会は、これまで各市町村に設置されてきました。
国民健康保険法第11条に基づき、国保事業について「重要事項」を審議するため、
法律で設置が義務づけられている協議体です。
これまでから市町村の国保運営協議会は、例えば保険料や保険給付について、
首長から「来年度からの保険料をこれこれこのようにしてはどうかと議会に提案したい。
協議会としてはどのように考えますか?」と「諮問」を受け、保険医や被保険者の代表も含めた協議会が審議し、
「答申」を出す、という仕事をしてきました。
特に、保険料の改定などは、住民・被保険者の生活に直結する重大な案件であり、
議会提案前に協議会で議論することは、大切な手続きだといえるでしょう。
来年4月スタートの都道府県化によって、京都府も保険者になります(市町村も引き続き保険者ですから、
「共同保険者」です)。ですので、新たに京都府にも協議会が誕生することになったのです(市町村にも
これまでどおり運営協議会が設置されます)。
6月12日の第1回運営協議会は、井上恒男同志社大学大学院総合政策科学研究科教授を会長に選出。
仕組みの概要をあらためて共有し、今後のスケジュールを確認しました。
当日配布された資料によると、7月に予定する第2回会合で国保運営方針について京都府知事からの
「諮問」を受けた上で論点を出し、第3回には「国保運営方針の中間案のとりまとめ」を行い、
パブリックコメントも経て18年1月の「最終報告」まで5回開催が予定されています。
京都府国保運営協議会の重要な仕事がこの「国保運営方針」をつくることです。
京都府は、府全体の国保財政の見通しを立て、各市町村が府に納めることになる「納付金」と
「標準保険料率」を検討し、協議会に諮りつつ、決定していくことになります。
その結果が、国保運営方針に書き込まれるのです。
会合では、委員から「医療費が高いところは保険料も高くなるが、その分医療が充実している。
それは自治の在り方、住民の選択の問題だ。それを無視して、府の医療費水準に全体をあわせるのはいかがなものか」
との意見が出されました。
これは、国が国保都道府県化にあたり、将来的にはすべての自治体の医療費が「平準化」され
(つまり、医師の数や医療機関の数も適正に配置され、ということにもなります!)、保険料も統一されていくことが
望ましいと考えていることを踏まえた意見だと思いますが、公的な医療保険とは何か、という根本問題につながる
重要な指摘といえるでしょう。
いよいよ、本格的に動き出した国保都道府県化。
国は、同じく2018年から実施となる「第3期医療費適正化計画」や「地域医療構想を含めた医療計画」と
国保運営方針が「整合的」なものとなるように求めています。
つまり、国にとっては国保都道府県化は、都道府県による医療費管理・抑制の仕組みづくりの一環なのであり、
それ以上のものでも以下のものでもありません。
ですが、国保行政は住民の生命と健康を守るものであり、自治体行政の根幹的な業務の一つです。
保険財政と提供体制を両面から担うこととなった京都府が、どのような運営方針を取りまとめるか注目されます。