12月2日、政府は方針通り健康保険証の新規発行を停止した。協会は同日、これに抗議する理事長談話を発表。11月28日には国会要請行動に事務局が参加し、京都選出国会議員に現行保険証の存続を要望した。この日、国会に提出された請願署名は累計で177万筆を超えた。
健康保険証の新規発行停止の強行に抗議する(要旨)
2年前、正式会議を経ることなく唐突に廃止が表明され、法的には任意のマイナンバーカード取得を生命に関わる保険証を使って事実上義務化した。
医療機関窓口ではマイナ保険証の資格確認でトラブルが多発し社会問題化。政府は総点検・確認作業を終了したとするが、その後の調査でもトラブルの割合はむしろ上がっており、「不安払拭」にはほど遠い。
これまでは保険証1枚で確認できていたものが、弥縫策を重ねることで資格確認方法は7通りとなり、この不便極まりない仕組みに医療機関は手間とコストを強いられている。
混乱の原因は、政府によるマイナ保険証しか使えなくなるかのような宣伝・誘導にある。直近10月のマイナ保険証利用率は15・67%にとどまり、国家公務員はさらに低いことも国民の不信を深めている。
10月の総選挙当選者465人中55%が保険証を「廃止すべきでない」「延期すべき」と答え、「廃止」36%を上回る(NHK)。石破首相自身も9月の自民党総裁選挙で、「(従来の保険証との)併用を考えるのは選択肢として当然」と発言している。
それでも立ち止まろうとはせず、健康保険証の新規発行停止を強行した政府に強く抗議する。
そのうえで、@廃止延期法案を与野党の枠を超えて成立させることA国民の受療権後退防止のためにも、少なくとも国保被保険者に対しては全員に資格確認書を無条件交付することを求める。
また、保険証廃止は人々の生存権・健康権保障に「申請主義」を持ち込み、国・自治体の公的責任を大きく後退させるのみならず、マイナンバーカード普及は国・企業による個人情報の収集・利活用を主目的としている。日本で未整備の自己情報コントロール権を法的に確立し、真に医療保障に役立つデジタル化を求める。
集まった署名を国会議員に手渡す集会参加者ら