協会は9月14日、京都府内の各地区医師会長との懇談会を開催。地区医師会から21人、協会から7人が出席した。「社会保障制度の行方と医療提供体制改革」をテーマに意見交換。10月からの長期収載品・選定療養化や24年度診療報酬改定、現場を無視した国の政策に対する意見等が出された。
医療上の必要性がなく、患者が先発医薬品(長期収載品)を希望した場合に、患者自身が差額負担する選定療養が10月1日から導入された。地区からは「後発医薬品が不足している中、こんな政策を進めて良いのか。医薬品不足は国が後発医薬品メーカーに圧力をかけ、薬価を下げ続けたことが原因であり、国民に丁寧に説明すべきだ」などの意見が出された。24年度診療報酬改定に対しては地区から「新設されたベースアップ評価料の算定は事務作業が煩雑すぎる。診療報酬の伸び率が物価高騰に対して低く、実質の診療報酬が下がり続ける中、給与を上げることは不可能だ」「財源問題では厚生労働省の入る余地がない。我々が働きかける相手は財務省であり、診療報酬の引き上げと同時に患者負担の引き下げを合わせて要求する必要がある」との意見が出された。
協会からは「選定療養化は大きな問題。後発医薬品の不足は選定療養の対象にならないと言質を取っている。主治医の判断で、選定療養化に拒否する姿勢を見せてほしい。診療報酬改定は複雑化の一途で療養の給付とは全く関係ないものを点数化し、患者に負担を強いている。診療報酬は療養の給付への対価であると訴えたい」と回答した。
医療DXで
地域医療崩壊の危惧
医療DXを推進する国に対して地区から「地域医療を支えてきた診療所が医療DXにより閉院を余儀なくされ、今後も増えることが危惧される。医療・介護の担い手が減る中で、拍車をかける政策は理解できない。多くの医療者が排除されているのではないか」との意見が出された。
協会からは「団体や市民の間でも現行の健康保険証廃止を撤回するための勉強会や署名活動が広がる中、資格確認書の全員発行や期限の延長など、国は態度を軟化させてきている。我々の運動によって押し込んできている面もある」と述べた。
協会は10月26日にマイナ保険証に関する市民フォーラム、11月2日にコロナ体験記シンポジウムを開催する。地区からは「市民に実態を知ってもらうことは重要。我々の活動を理解してもらえる機会にしてほしい」と期待を寄せる意見が出された。
後発医薬品不足の中、選定療養を進めることを疑問視する意見が出された