ベースアップ評価料届出35% 煩雑な実績報告で“ためらい” 診療所対象にアンケート調査  PDF

 協会は2024年診療報酬改定で新設されたベースアップ評価料について、医療機関の実態調査を実施した。対象はファクス登録のある1550診療所。

個人と法人で届出状況に差
 調査期間は6月24日から7月3日。回答数は288件(回答率は19%)。回答した医療機関の第一標榜科は内科53%、その他の標榜科は10%未満で分散した。
 届出状況は全体で「ベースアップ評価料 のみを届出」29%、「 ・ ともに届出」6%、「届け出ていない」65%となった(図1)。個人診療所では「ベースアップ評価料 のみを届出」20%、「 ・ ともに届出」5%、「届け出ていない」75%(図2)。法人診療所では「ベースアップ評価料 のみを届出」38%、「 ・ ともに届出」6%、「届け出ていない」56%の結果となった(図3)。
制度自体を疑問視する声も
 届け出ていない理由を複数回答で聞いたところ、全体で「定期的な実績報告が煩雑」69%、「今の経営状況で(給与支払いを)できる限りしている」43%、「点数が継続されるか分からない」36%、「点数自体が気に入らない」24%だった。「その他」も31%となり、「算定条件が複雑で厳しい」など届出時のハードルの高さや、「点数を患者に上乗せするのが理解できない」「制度自体に大きな問題がある」「技術料としての初診料や再診料の大幅なアップが望ましい」など、制度自体を疑問視する声が多く寄せられた(図4)。
 個人診療所では「定期的な実績報告が煩雑」68%、「点数自体が気に入らない」54%、「今の経営状況で(給与支払いを)できる限りしている」44%、「点数が継続されるか分からない」41%、「その他」37%となった。
 法人診療所では「定期的な実績報告が煩雑」70%、「今の経営状況で(給与支払いを)できる限りしている」41%、「点数が継続されるか分からない」29%、「点数自体が気に入らない」20%、「その他」24%だった。
雇用管理は「人手不足」が最大の課題
 医療機関の給与制度については、「月給・時給どちらも採用」69%、「月給のみ」12%、「時給のみ」18%、スタッフの採用なしを含む無回答が1%。月給制で「定期昇給の導入あり」63%、時給制で「定期昇給の導入あり」56%となった。
 雇用管理の悩みを自由記述で聞いたところ、「人手不足」が圧倒的に多く、「募集をかけても応募がない」「スタッフがなかなか定着しない」など、人材確保が最大の課題であると言える。
 今回寄せられた声を基に、厚生労働省へ診療報酬改善を要望していく。人材確保の課題への取り組みも強化していきたい。

「ベースアップ評価料T」府内で621件
近畿厚生局が届出状況を公開

 近畿厚生局は7月3日、2024年6月診療報酬改定を経た施設基準届出状況(7月1日現在)をホームページに公開。京都府内の状況が明らかとなった。
 今次改定で新設され、医療従事者の賃上げに使途が限定されるなど注目を集めた「外来・在宅ベースアップ評価料I」の届出は621件(医科、以下同じ)で届出率は26・2%となった。無床診療所が対象となる上位基準「同評価料 」の届出は59件、病院・有床診療所が対象となる「入院ベースアップ評価料」の届出は137件だった。
 主として7対1病棟からの移行先・高齢者救急の受入先として、特定入院料に新設された「地域包括医療病棟入院料」の届出は府内では千春会病院の1件のみだった。
 基本診療料関係では、初診料の「医療DX推進体制整備加算」677件、入院基本料等加算では、「バイオ後続品使用体制加算」16件、「医療的ケア児(者)入院前支援加算」6件、介護保険施設等入所者の急変時対応を評価した「協力対象施設入所者入院加算」13件だった。特定入院料のうち「新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料」「精神科地域包括ケア病棟入院料」の届出はなかった。
 特掲診療料では「プログラム医療機器等指導管理料」56件、救急患者の下り搬送を評価した「救急患者連携搬送料」は6病院だった。

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