私の旅行記 四国の端っこ、DMV、轍の鉄旅 村上 匡孝(綴喜)  PDF

 地方鉄道の存続が危ぶまれる昨今。前回の木次線とは趣向が異なる、ユニークなローカル鉄道を四国は徳島と高知の境目に訪ねます。
 岡山から瀬戸大橋を渡る快速マリンライナー、ブルーリボン賞受賞の名車5100系(写真1)の先頭グリーン車の最前席は、列車の前方展望を楽しめるプレミアムシートです。臨場感あふれる瀬戸大橋の走行は、真面目な感動があります(写真2)。高松からは新型気動車2700系うずしお(写真3)で徳島、さらに国鉄時代のキハ185系むろと(写真4)で牟岐線(阿波室戸シーサイドライン)を南下します。
 現在のJRの終点は阿波海南駅。単線ホームの先の10数メートルは埋められて車止めがあり、南の甲浦まで続くレールは寸断されていますが、横から合流するレールが見えています(写真5)。やって来たバス(写真6)が道路(タイヤ)から線路(車輪)にモードチェンジをして線路を走ります。今度はそのまま鉄道車両(レールバス)として(写真7)終着駅・甲浦へ向かう究極のローカル列車が、阿佐海岸鉄道、世界初のDMV(デュアルモードビークル)なのです。
 バスは道路と線路のジョイントでモードチェンジ。タイヤが徐々に外上方に上がり、車体が降りて線路に車輪が乗ります。海を観ながら山間を走る高架の鉄路を走るバスはまさにスローライフです。終点の甲浦では、ホームの端で車輪からタイヤへの逆モードチェンジをして線路から道路へ(写真8)。高架から麓のバス停までタイヤで坂を下ります。バスはさらに室戸方面に向かうのですが、私は下車して上りのバスを待ち、階段を上がった鉄道駅のホームでバスから汽車へのモードチェンジを外から鑑賞しました。宍喰駅のイセエビ駅長と面会(写真9)した後に、DMVで海南駅に戻り(写真10)、徳島までは鈍行の汽車旅を満喫します。森の中ありトンネルあり、海沿いと里山と山の中。ここに地元の美味を提供するグルメ列車を走らせたら受けるのにと思う、Dr.MurakamiはVサインなのでした。
(2022年7月完乗)

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