副理事長 内田 亮彦
協会新年度にあたりごあいさつさせていただく。
平素は保険医年金、休業補償、医師賠償責任保険、制度融資をはじめとした、当協会の共済制度にご協力賜り感謝申し上げる。コロナ禍で経営は不安定になりやすく、共済制度にまで気が回らないと思うが、こういう時こそ将来の安定のため役立てていただきたいと思う。
経営に関して気になる問題は、消費税である。保険診療は消費税非課税とされているが、自由診療(交通事故の医療費は非課税)は消費税が課税される。課税収入が年間1000万円を超えると消費税の申告義務が発生する。
具体的には2021年に課税収入があると、23年には消費税を申告しなければならなくなる。12年に日本医師会が発表した資料では、07年の診療所の消費税免税事業者は71・4%だった。その後公費の予防接種の増加などで、消費税の申告を要する医療機関が増えていることが予想されるが、現在でも診療所の多くは消費税免税業者であると予想される。
ところが、今回の新型コロナワクチンの接種で消費税課税収入が増えると消費税課税事業者になってしまう。ワクチン接種を頑張った会員が負担を被らないよう、何らかの負担軽減措置の要望を検討していきたい。会員各位におかれても課税収入を把握いただき対応をお願いしたい。
消費税関連でもう一つ気になるのが、インボイス(適格請求書等保存方式)制度が23年から始まることである。これは仕入れ税額控除を受けるために必要となる文書を定めるものであるが、課税事業者である取引先からインボイスを要求される可能性がある。
具体的には産業医が顧問先の企業からインボイスを要求されるなどである。インボイスを発行するためには、消費税課税事業者になって申告する必要があるため、情報収集していきたい。