社交ダンスに興味を持ったきっかけは、新婚旅行でのカリブ海クルーズで毎夜開かれるダンスパーティーでした。そして、40歳で入会したスポーツジムでたまたまダンスの教室が始まり、家内と2人で習い始めることにしました。今から思えば、団体レッスンで、お遊戯のようなものでしたが、それはそれで楽しい週1回のリフレッシュタイムでした。そのうち、軟弱なダンスに我慢できなくなり、私だけが個人レッスンで習い始め、今までと全く違うダンスというスポーツを経験することになります。週1回ですが、欠かさず45分間のレッスンを受け、年1回の発表会にも出場するようになって、今年で20周年を迎えることになりました。
スポーツダンスは、踊ることで体幹が鍛えられ、さまざまな動きやポーズは、普段使うことがない筋肉も働かせるので、体のストレッチ効果は抜群でした。次々と新しいステップをマスターすることは、大きな楽しみでしたが、リズム感がない私にとって体の動きを音楽にシンクロさせるのは、永遠の課題です。しかし、練習を重ねていると、今までできていなかったことが、徐々にではなく、ある日突然、何の前兆もなく、できるようになることもあるということを体験しました。
さて、発表会は未体験ゾーンで、最初は人前で踊るなんて、とてもとてもと、拒否していましたが、出場してみると結構はまるのです。
発表会は、四方に観客がいます。ステップを間違って止まってしまったらどうしようと何回出場してもドキドキします。何回練習しても間違うことはありますし、あんまり練習していなくても、うまくいくことも経験しました。1回も間違わずに踊れたことなどありませんが、途中で止まってしまったこともなく、パートナーの先生との阿吽の呼吸で何とかこなしています。
ところで、発表会前には必死で練習しますので、腰やひざを痛めてしまうことがあります。ある年の発表会の前日、左足首が痛くて歩けなくなったことがありました。足首へのアイシング、痛み止めスプレー、ロキソニン内服などをしてみたのですが、夜10時になっても一向に良くなりません。やむにやまれず、親戚の内科医に電話しました。病状を説明した後、「尿酸値高くない?」と聞かれ、「えっ」とびっくりしたのです。私の尿酸値は、7・9㎎/dLで危険水域だったことを思い出しました。それから、夜11時頃にステロイドとコルヒチンを持ってきていただき、内服しました。翌朝も足を引きずり会場へいき、リハーサルも足を引きずりながらやりました。何とか強行出場したのが、懐かしい思い出です。
発表会で学んだことは、一つは、練習で無意識に踊れていたところが、本番になると問題が発生しやすいということです。なんどきもステップや順番にしっかり意味づけしておかなければいけません。二つ目は最初が肝心ということです。最初のいくつかのステップを念には念を入れて練習しておき、特に踊りだしに集中します。すべりだしで順調にいくと、うまく集中できていきます。最後に、どんなに上手に踊れていても、調子に乗ってはいけません。もう少しで終わり、と思ったらつまずきが待っています。最後まで気を抜かないことです。こんなことですから、ダンス発表中に快感を覚えることはまずありません。
しかし、踊り終わってポーズをとって万雷の拍手とスポットライトを浴びると、何とも言えない高揚感が身を包み、結果はどうであれ背すじがぞくぞくしてきます。スターの気分を味わうことのできる一瞬です。出費はかさむのですが、この時は、また出場するぞと思ってしまいます。
でも、ダンスを続ける意味は、体を動かして体幹を鍛えることと、全身のストレッチです。そして、脳の違う部位を同時に使うと、認知症予防に役立つと脳科学者が言っていますが、ダンスは耳で音楽を聴いて、それに合わせて覚えたステップをシンクロさせないといけないので、これにぴったりと思っています。いつまで踊れるかわかりませんが、これからは技術より表現に重きを置いて体に合ったダンスを続けていきたいと思う今日この頃です。
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