私のすすめる ナガラ念仏 インド旅行  PDF

宇田 憲司(宇治久世)
なかなか進まぬ原文暗唱

 ある短期大学でスポーツ医学の講義を後期15回4年度間行ったが、冬休みの宿題を出し合った。初年度は、日本国憲法前文を中学・高校生時代を思い出し暗唱し直そうと言ったところ、非常勤講師もすべし、しかも英語でと、ある学生から宿題をもらってしまった。年末年始には、妻子とペルーへの集団旅行に赴き、インカ帝国の高山道を巡るバスの中で頭痛・吐き気症状に苦しみながらブツブツ小声で唱え、何とか暗記した。次の冬休みは、初めからともに英語で、リンカーンの「人民の人民による人民のための政治」はゲッティスバーク演説を採用し、妻と2人の世界旅行「クメール王朝 遺跡を巡る旅」で年末はタイの寺院・遺跡を、年始には陸路カンボジアに入りアンコールワットを見たが、Four scores and seven years ago,our farther brought force on this continent, a new nation, conceived in liberty and dedicated to the proposition, that all men are created equal. …that government of the people, by the people, for the people shall not perish from the earth. とチャーターした車の中で九割方覚えて帰国した。3年度目は、般若心経266文字で、岩波文庫からサンスクリット原文を22行中6行だけインドで覚えると言ったが、インド航空機が遅着したため旅立てず、漢文だけでお茶を濁した。
 次の年度は2度目の正直で、妻と2人で、北インドに飛び立ち、黄金の三角形地帯なるニューデリー、ジャイプール、アグラでは、何よりもアグラのタージマハールが圧巻であったが(写真)、ジャイプールの巨大な日時計ジャンタル・マンタルが20秒の精度で時を刻み真に印象的で、感動の極みでもあった。汽車に乗りまた車に乗り換え陸路カジュラホに移動し、西の寺の女神群像の胸・臀部・下肢をむき出しにしたポーズが何とも言えずエロチシズムに満ち、大いに目の保養となり大変気に入った。ベナレスでは、ガンジス川河畔に、夜、ヒンズー教の儀式アールティを見学し、早朝、沐浴風景を含む河岸の景色をボートから見て、遺体を荼毘にふす場にも遭遇した。
 旅行最終日は、仏陀の初説法の土地に建てられたダメーク・ストゥーパのそばの遺跡公園に赴き、般若心経をサンスクリットで読誦してみたが、まだ原文での抑揚・リズムを学べておらず、ともかく読み唱えたにとどまり、帰国後CD版を入手せねばと思った。したがって、原文6行の暗唱はまだ完成せず、4年度目の冬休みの宿題としては、日本国憲法第2章戦争の放棄の第9条と、第3章国民の権利および義務の第10~14条の和文・英文の暗唱でお茶を濁した。なかなか進まぬ原文での勉強を苦楽しながら細々と継続中である。

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