蟹の話
田中伸明(伏見)
私は蟹が大好きですが、しばらく前までは蟹についてしらないことばかりでした。皆さんは蟹のことをどこまでご存知ですか?
蟹みそと言っても脳みそでないのは当たり前ですよね。もしも脳みそなら頭のいい蟹のみそが美味しそうですが、頭のいい蟹は捕獲されにくくてなかなか食べられないかもしれません。ちなみに蟹みそは、中腸腺といわれる部位でいわゆる肝膵臓です。
5年ほど前に香住へ蟹を食べに行った帰りのことです。蟹博物館なるものがあり、入ってびっくりしてしまいました。それまで私は蟹といえば、ズワイガニが一番だと思っていました。越前ガニや松葉ガニよりズワイガニが美味しいと。これらすべて一緒のものだったのですね。蟹の雄のことをとれる地方で越前ガニとか松葉ガニとよんでいるだけなのですね。この博物館で初めて知りました。雌のことはコッペガニとかせこガニ(勢子蟹)、こうばこ(香箱)とかいいます。
あの甲羅の奥にある内子が最高です。これは卵巣です。お腹の房にあるのが外子でいわゆる卵です。これは時期によって色が異なります。11月、12月頃はオレンジ色ですが、1月、2月頃にはだんだんと黒くなっていきます。外子が美味しいのはやはりオレンジ色の頃です。また蟹の甲羅には黒いぶつぶつしたものが付着しているのをみかけますが、これはカニビルの卵で、これが付着している蟹は脱皮後の時間が長いことを意味していて、身が詰まって美味しいようです。
ズワイガニ以外の蟹といえばタラバガニがいますが、これは全く種類が違うのを知っていますか。ズワイガニは蟹ですが、タラバガニはヤドカリの仲間です。決定的な違いは脚の数です。タラバガニは蟹爪以外に脚は6脚しかありません。ズワイガニは8脚ですよね。タラバガニはズワイガニと違って雌雄の違いがはっきりしませんが、雄の方がやはり美味しいようです。違いは裏返して卵を持つところが三角形をしているのが雄で雌はそこが丸い形をしています。
青森の陸奥湾でとれるトゲクリガニは絶品です。大きさはコッペガニくらいでとげとげのある蟹です。びっしり詰まったみそは最高です。本当に濃厚なみそですよ。一度食べたら病み付きになってしまいます。
今、私は自宅でサワガニを飼っています。1匹は旅行先でとってきました。もう1匹は夜店で買ってきました。どちらも数年生きていて、何度か脱皮をしています。結構長生きするものだと感心しています。えさはなんでもいいのですが、与えたえさを蟹爪で受け取ってくれる仕草はとてもかわいいですよ。