葡萄酒の楽しみ
山本 博(左京)
私の葡萄酒歴は中学校の保健室がスタートです。それから、成人になって葡萄酒に目覚め、もうかれこれ50年になります。なぜ保健室が最初かといいますと、中学校のマラソン大会があり、ヘトヘトになって学校へ戻り、門前で倒れてしまいました。運ばれたのが保健室。そのとき養護の先生が薬棚からボトルを出してきて、口にいれてくれたのが葡萄酒でした。
たしかに葡萄酒は薬で、薬価がついています。日本薬局方で、薬価は10mlが20・70円となっています。500mlのボトルに換算すると1035円です。効能は、食欲増進、強壮、興奮。下痢。不眠症。無塩食事療法。用法は1回15ml、または60ml投与。年齢、症状・適宜増減と京都府保険医協会発行の薬価基準に書いてあります。以前に薬問屋に葡萄酒を注文しましたが、それは赤葡萄酒で500mlのボトルに入っていました。味わいはまずまずでした。ご興味がありましたら、一度注文されてはいかがでしょうか。
さて、葡萄酒の楽しみ方はいろいろあります。たとえば、(1)誕生日に美味しい葡萄酒を飲む。(2)結婚記念日に結婚した年の葡萄酒を二人で楽しむ。(3)気の合った仲間と美味しい料理に合わせた葡萄酒を飲む。(4)悲しいとき葡萄酒を飲む(やけ酒)。(5)家を新築したとき葡萄酒を飲む。(6)新車が来たとき葡萄酒を飲む。(7)山へ登ったとき葡萄酒を飲む。(8)海に潜ったとき葡萄酒を飲む。(9)ゴルフで優勝したとき葡萄酒を飲む。(10)子どもや孫が生まれたときや結婚したとき葡萄酒を飲む―などいろいろな葡萄酒の楽しみ方があります。
私はお世話になった葡萄酒の好きな方には、シャンパンを送っています。なぜなら、シャンパンは特別な葡萄酒です。それは、五感に訴えるからです。
(1)グラスを立ち上る泡が美しい(視覚)。(2)グラスから聞こえる泡が弾ける音がここちよい(聴覚)。(3)香りが芳ばしい(嗅覚)。(4)舌触りがここちよい(触覚)。(5)酸味がすばらしい(味覚)。
そして、料理を選びません。和食によし、中華料理にもよし、もちろんイタリアン、フレンチにもよし。万能の葡萄酒です。
ところで葡萄酒には、「葡萄品種」、「産地」と「ヴィンテージ(収穫年)」があります。この組み合わせは無限にあります。同じ「葡萄品種」でも「産地」が異なれば違うスタイルの葡萄酒となります。同じ葡萄酒でも「ヴィンテージ」が異なると、趣が異なります。たとえば、1990年の「シャトー・マルゴー」と1991年の「シャトー・マルゴー」とでは、味わいも異なり、価格も異なります。そこが、葡萄酒の面白さであり、楽しみです。
父母の金婚式にプレゼントした葡萄酒があります。それは、シチリアの葡萄酒で「ノッツェ・ドーロ(金婚式)」です。50年の夫婦の歳月を経て、金婚式の葡萄酒が飲めることは、とても幸せなことです。そして、父の喜寿の時に葡萄酒をプレゼントをしました。それは、77年前に父が生まれた時の1920年の葡萄酒です。今、91歳になる父は、そのときに飲んだ葡萄酒のことを思い出します。次は、父が100歳を迎えたとき、プレゼントしようと1920年の葡萄酒を考えています。私は1979年に結婚しました。結婚記念日の日には、そのヴィンテージの葡萄酒を夫婦で、毎年飲んで祝います。私は古希のときに飲む葡萄酒を用意しています。それは、ボルドーの「シャトー・ラトゥール1948年」です。あと7年後を楽しみに、毎日の仕事に励んでいます。