2020年の年間収入コロナで大幅減 会員経営アンケート第二弾  PDF

 新型コロナウイルス感染症による受診抑制により、医療機関の減収は昨年4月、5月の第1波時をピークに落ち込み、秋頃に減少幅が縮小してきているデータが示されている。診療所では特に小児科と耳鼻咽喉科の落ち込みが顕著となっている(図1)。しかし、診療報酬では特例的な加算が設定され、さまざまな補助金等の支援により、国は「減収はない」としている。協会はコロナによる受診抑制により減収した全ての医療機関に補填するよう要求してきたが、いまだ実現していない。一方で、財務省は、コロナ患者の入院を受け入れている医療機関のみ診療報酬の単価補正で減収補填する案を提案している。協会は2020年の年間を通しての経営アンケートを病院と診療所それぞれ実施した。この結果も踏まえて、減収補填について引き続き要請していきたい。

病院
年間収益でも半数がマイナス10%未満

 病院は対象149のうち21病院が回答(14%)。支援金補助金を合わせた20年の年間総収益について質問した。コロナ患者の入院に対応しているところでも増益が2病院、マイナス30%台が1病院あり、多くはマイナス10%未満に分布。外来のみの対応病院ではマイナス40%台もみられる(図2)。
 日本病院会など3病院団体が先頃発表した支援金を加えた20年度の利益率では、コロナ患者を受け入れた病院で対前年度比2・4ポイント増との結果がある。協会アンケートの集約数は少ないものの、減益病院の割合が高く出ている。

診療所
年間保険収入でもマイナス顕著

 診療所は1611のうち188医療機関が回答(12%)。支援金とは切り離して保険診療の年間収入できいた。マイナス10%台前後の分布が最も多く、マイナス30%以上は19%にのぼる。科別では、マイナス20%台以上の分布では耳鼻科が87%、整形外科が63%、小児科50%となっており、マイナス50%以上が内科で2件、耳鼻科で1件みられる(図3)。
 コロナ関連の支援金補助金の減収分に対する効果については、「昨年の収益を確保」が15%、「昨年の収益を下回った」が52%、「大きく下回った」が23%であった。これについて「減収に見合っていない」が40%を理由にあげた。

「将来不安」6割超える

 4月からの初再診料への5点加算等については、「全く不十分」が48%、「一定補填になったが不十分」が38%、「十分と思う」は9%だった。
 さらに、医療機関の将来展望について、「廃院も考えている」が5%あり、「将来が不安」56%と合わせて6割を超える不安に対し、「不安はない」は30%であった。
 意見欄では、「感染症対策に時間と労力がかかり、相応の評価となっていない」「医師・スタッフともに疲労が続いており、いつ倒れるか心配」など多くの意見が寄せられ、「体制確保の補助金は未着なのに実働報告を急かされる」など補助金未着の問題でも不満が寄せられた。それに加えて「収入よりもワクチン接種のため仕事量増加、多くのかかりつけ医はできる限りの努力はしていると思いますがなぜか接種の遅れがかかりつけ医に責任を押し付けられている印象です」などワクチン業務で負担増加している意見が多く寄せられた。

ページの先頭へ