医界寸評  PDF

 コロナで祇園祭の山鉾巡行は今年も中止。無病息災祈念のお祭りというのに。祇園と言えば「祇園精舎の鐘の声」と平家物語のフレーズが頭に浮かぶ。祇園精舎はインドの舎衛城とされ、釈迦が説法を行った寺院とされる。江戸時代の日本ではアンコールワットが祇園精舎と思われていたことがある。当時、日本ではカンボジアを南天竺と呼んでいた▼平家物語は「盛者必衰」を説く。嵯峨野には悲恋の尼寺「祇王寺」、滝口入道と横笛の悲恋物語の「滝口寺」とか物語に関連したお寺が残っている。檀林寺を設けた檀林皇后は嵯峨天皇のお妃で世に類なき麗人と言われた。仏教への信仰が篤く、死に臨んで、自らの遺体を埋葬せず路傍に放置せよと遺言し、帷子辻において遺体が腐乱し白骨化していく様子を人々に示したといわれる▼先日、京セラ美術館で古代エジプト展を見学した。古代エジプト人が信じた「天地創造と終焉の物語」がテーマで、宇宙の秩序についても語られていた。戦争や病気による死後の世界観、また強い復活の世界観も語られていた▼今も世界中に独裁国家が存在する。新型コロナのパンデミックも宇宙の秩序の一つであり、現代の人類が試されているのだろうか。もう少し他の命に対しても謙虚になれと教えているのか。もしかして日本のワクチン供給の不手際も天に試されているのか? (名)

ページの先頭へ