医界寸評  PDF

 最近、患者の振る舞いを見て思うのだが、時折「?」というような態度を見せる患者に遭遇する。患者にしてみれば、「患者は客だ。金を払っているのは俺だ! 私だ!」という気になるのであろうが、医師も人間だ。良い感じは受けないし、そうなると無意識にしろ、当方の態度も…となるような気がする。いや、これは用心したい…▼かといって、一昔前のような医師が決めた治療方針にものを言うなんてとんでもない、なんて時代も望ましくない。医療は一方通行では成立しないのだなとつくづく思う今日この頃である▼患者の健康を守るためには医師の専門性に依拠して必要十分な医療を提供したい。昨今の「医療サービス提供者」となる医師と「医療サービス消費者」という患者の枠を超えて、お互いにしっかり対話することが必要なのだろう。しかし、この対話が難しいのだ。わが身を振り返り少し声が小さくなる…▼また一方で、日々の診療を振り返る際にはそこに無駄な医療が入り込んでいないか、自身を問う姿勢も必要だろう。安易に「無駄な医療」論に乗るつもりはないが、用心を重ね、念のためと行う医療で、本当に必要だったかの検証は必要かもしれない。「無駄な医療」論に抗するためにも▼時代、時代にあわせて誰しもが柔軟な姿勢は持つべきだが、「町医者」の気概は残したいものだ。(Mykonos)

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