府計画に関心高いが認知度は低め 医療提供体制で地区懇アンケート  PDF

 協会は2017年10月から18年4月にかけて「地域の医療提供体制」について会員アンケートを行った。各地区医師会との懇談会にあわせて全会員2361人を対象にし、回答は326人(14%)であった。
 18年度開始に向けて、都道府県を軸とした医療提供体制と医療保険制度の一体的改革が進められてきた。国が都道府県に課そうとしているのは、地方自治体による主体的な医療費適正策=抑制策。これに対して京都府は医療費抑制には与しない姿勢で、医療計画や地域医療構想などの策定作業を進めてきたものと評価できる。京都府が18年3月に保健医療計画(18年度~23年度)を取りまとめたが、本アンケートでは13年の京都府保健医療計画および17年の京都府地域包括ケア構想から医療圏ごとに進められてきた議論や課題について会員の意見を聞いた。

府の検討内容に「関心ある」8割超

 京都府が医療圏ごとに検討している提供体制の内容についての「関心度」では、「大いに関心」21%、「ある程度関心」62%を合わせて83%が「関心ある」としたが、17%は「関心ない」とした。
 地区ごとでは、下西、西京、亀岡・船井が「無関心」がゼロであった。逆に山科(42%)、東山、中西(40%)、下東(38%)、舞鶴(36%)で「無関心」が高かった(図1)。

検討内容の認知度は3割にとどまる

 内容についての認知度では、「知らない」が67%で、「知っている」32%を大きく上回った。
 地区ごとでは、亀岡・船井(65%)、与謝・北丹(53%)、宇治久世(43%)で「知っている」が高い割合であった(図2)。

今後の医療活動にとって重要が5割

 関心度および認知度の理由で最も多かったのは「今後の医療活動にとって重要と認識」50%で、「自分の問題意識と乖離」17%、「問題の解決につながると思えない」14%、「自己の診療に関係ない」11%の順だった(図3)。

京都市内では地区の意見挙げること望む

 府の「検討内容をどう考えるか」をきくにあたっては、京都市は地域保健医療協議会に参加していないため保健医療計画の地域ごとの課題に記載がない。そのため、市以外の地域と設問を分けてきいた。
 京都市内では、「地区医師会から意見を京都市に挙げられるようにすべき」が44%で、「参加していない京都市に不満」は23%、「特に不満はない」は21%であった(図4)。

京都市以外では5割が「十分でない」

 京都市以外では、検討内容は「十分ではない」が49%で、「概ね一致できる」は37%であった(図5)。

在宅医療で不足感高いのは「医師数」

 2025年の在宅医療等に向けて地域で困難や不足と感じていることについては、「対応できる医師数」が59%と最も多く、「介護職の数」が40%、「特養等の介護施設数」が34%、「医療機関同士の連携」31%、「多職種間の連携」が28%と続いた(図6)。
 項目別にみていくと、「対応できる医師数」の不足感が高かったのは、亀岡・船井(91%)、舞鶴(86%)、下西(77%)、福知山・綾部(74%)、右京(73%)、相楽(71%)、与謝・北丹、綴喜(67%)だが、低かったのは左京(39%)、西京(33%)、下東(13%)。府の北部と南部地域で不足感が高いのは、当然といえよう。京都市内で高かった下西と右京の両医師会には12月から京都市在宅介護・医療連携センターが設置されており、その関係で関心が高かったのではないかと推測される。
 「医療機関同士の連携」の不足感でも、下西(62%)、右京(58%)が高く、低かったのは相楽、亀岡・船井(17%)、西京(0%)。
 「多職種間の連携」の不足感が高かったのは、綴喜(67%)。低かったのは亀岡・船井(13%)、相楽、西京(8%)。
 「特養等の介護施設数」の不足感が高かったのは、下東(75%)、山科(67%)、綴喜(53%)、乙訓、東山(50%)。低かったのは福知山・綾部(11%)、伏見(6%)。
 「介護職の数」の不足感が高かったのは、宇治久世(57%)、綴喜(53%)で、低かったのは与謝・北丹(13%)。
 「地区医師会の連携拠点機能の整備」の不足感が高かったのは、西京(42%)、綴喜(27%)、舞鶴(21%)で、低かったのは下西(8%)、中西(5%)、福知山・綾部、中東(0%)。
 なお、地区別の回答率は、相楽(31%)、与謝・北丹、舞鶴(25%)、亀岡・船井(24%)、福知山・綾部(23%)、綴喜、左京(17%)、中西(16%)、宇治久世、中東(15%)、乙訓(12%)、山科、下東(11%)、北・上東・西陣、下西、西京、右京(9%)、伏見、東山(7%)と、京都市内が低めであった。

図1 京都府の検討内容への関心度
図2 京都府の検討内容の認知度
図3 図1及び図2の理由
図4 府の検討内容をどう考えるか(京都市)
図5 府の検討内容をどう考えるか(京都市以外)
図 6 2025年に向け地区で困難、不足と感じていること

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