エッセイ 祇園祭のお囃子に誘われて  PDF

大川 正直(下京東部)

 7月に入ると四条通は祗園祭のコンチキチンが月末まで終日鳴り渡ります。音色に誘われ、早速ひとりで7月1日土曜日夕方に八坂神社を西楼門より訪れました。境内はたくさんの人達で満ち溢れていました。若い女性の派手な浴衣姿が、ところどころ目について華やかです。
 人波をかき分け本殿に進むにつれて違和感が増大していきました。溢れているのは統率された団体旅行風客ではなく、一見自然発生的にできた光景でしたが、どこもかしこからも中国語が飛び交っていて、浴衣も中国語です。最近は町中で男女とも和服を纏い行きかう中国人が数多く散見されますので、さほど珍しくはありませんが、それにしても日本人と思しき人達の少なさが目立ちました。
 本殿では一部の中国人も参拝していました。帰りがけにイカの姿焼きのお兄さんのひときわ大きな声の呼び込みセールスを浴びてびっくりしました。あまりにも圧倒的な中国人ばかりに商売っ気を持て余しジッとしていたのではと同情しました。西楼門を出て参道にあたる四条通を鴨川に向かって歩きましたが、北側も南側もやはり中国語が満ち溢れていて、隙間を修学旅行生の小グループが時折、身を屈めて遠慮がちに通り抜けて行くのが印象的でした。
 鴨川のほとり東華菜館の川床で6時から開かれた下京東部医師会のビールパーティーがこの日の私の終着点でした。下東のメンバーと楽しく歓談しながら、おいしい北京料理に舌鼓みを打ったものの、2回の宵山、山鉾巡行は一体どんな混雑ぶりになるかと思うとやや不安がよぎりました。

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