極楽絵図があの世だと言い聞かせ  PDF

宮地 道弘(与謝)

 また今年もお盆がやってきた。「年々歳々花相似たり、人同じからずや」。この世に生を受けている限り、人の死は避けては通れない。私も近未来、お盆に御参りをうけることとなる。それぞれ人は我が家で迎える、病院のベッドで迎える、あるいは見知らぬ土地で迎えるなど、その迎え方は様々であろう。突然迎える場合は致し方ないが、病床で考えながらの時間をくれるのであれば、次のような作戦を考えている。
 先日、テレビ番組で極楽・地獄の絵図をみる機会があった。特に地獄はその内容が凄まじいものであり、誰もがゾッーっとする死者への仕打ちが描かれていた。作者はそこまで想い描き表現するのかと思われるほどに、酷いものであった。そりゃ誰でもそんな黄泉の国には行きたくない。だけど、すべて想像の世界の話ではないか。そんなこと想像しなければよいのだ!
 以前から、私は死の直前の感覚というのは、お昼ご飯をお腹いっぱいに食べたあとのウトウト襲ってくる眠気の気分に似ているのではと思っている。何とも気持ちの良い転び寝に入る気分! きっとそうだ、そうなのだと思い込み、信じている。
 今から自分は極楽絵図に描かれているような明るいユートピア、いやあるいは竜宮城でも良い。とても気持ちの良いところに行くのだと言い聞かせ想像し、永遠の眠りに入る作戦を立てている。

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