2024年度 審査に関するアンケート 検査・画像・投薬の減点等に不満 回答  PDF

調査期間 2024年8月1日〜8月31日
対  象 会員医療機関1841(診療所1686、病院155)
方  法 アンケート紙(OCR用紙)方式
有効回答数・率 498(27%)(診療所:430(26%)、病院:68(44%))
回答者の割合 診療所86%、病院14%

 協会が1973年より2年に一度実施している審査(基金・国保)に関するアンケートの2024年度の結果がまとまった。22年度より調査結果の冊子での配布は行わないため、以下に診療所編の概要を掲載する。病院編を含む調査結果の全体と図表は下記のQRコード・URLからご覧いただきたい。

 回答者の診療科目は「内科系」が45%であった。
 この1年間の審査に対する満足度では、「満足」「ある程度満足」の合計は基金40%、国保42%(図1)。不満の理由は「審査基準の不明確さ」「医学的判断、見解の相違」が基金、国保ともに多かった。
 この1年間の減点経験は基金で92%、国保で89% が「ある」と回答した。その理由は「病名漏れ」(同73%、73%)が最も多い。減点の納得度は基金では「できる場合とできない場合が半分半分」(同41%)が最も多く、国保では「納得できる場合が多い」(同44%)が最も多い。減点に納得できない理由は「明らかな病名漏れは返戻してほしいから」が基金・国保ともに48%で最も多い。
 減点の頻度は基金・国保ともに「変わらない」(同55%、57%)が最も多いが、「少なくなった」が減少し、「増えた」が増加した(図2)。査定額の割合は「0・2%以下」(同48%、50%)が最も多かった。
 この1年間に返戻が「ある」との回答は基金90%、国保89%。その内容は「被保険者資格に関するもの」が基金・国保ともに75%で最も多かった。返戻に対して「請求内容に不備があり、肯定的に受け止めている場合が多い」(同50%、54%)が最も多かった。また、減点・返戻に対しては「その都度検討」が71%となっている。
 この1年間の再審査請求の経験について「ある」との回答は基金46%、国保43%であった。その結果に対して、「納得できる場合が多い」は同28%、29%だった。再審査請求について改善すべき点が「ある」との回答は同78%、76%で、改善すべき点は「原審通りとする場合、理由を詳細に文書で通知すべき」が基金・国保ともに67%で最も多かった。
 この1年間に審査委員会からの連絡(注意)や懇談を受けたことがあるのは基金10%、国保8%で、「ある」の割合が少ない傾向は続いているが、前回に比べると基金・国保ともに倍増している。その結果については「納得できた」が基金で73%、国保で77%であった。
 68%がいわゆる審査基準について、「すべて公開すべき」または「公開の部分を拡大すべき」と回答した。
 審査委員会に期待することについて、「患者の個別性を重視し、医師の裁量を尊重した審査を期待する」が61%で最も多かった(図3)。
 減点・返戻・再審査請求で納得できなかった事例、従来は認められていたのに減点されるようになった事例、再審査請求の結果復活した事例(自由記述)では「検査・画像に関するもの」「投薬に関するもの」の事例が多かった。
 審査全般に関する意見・要望(自由記述)では、「審査基準・審査結果の相違、審査基準の公開」「減点・返戻理由の明確化」に関するものが多かった。
 自由記述の具体的内容については調査結果PDFをご参照いただき、同様にお困りの事例があればいつでも協会までご相談いただきたい。
 保険診療の充実において審査支払機関の果たすべき役割は非常に重要である。協会は今回の結果を基に、より良い審査の実現のために取り組んでいきたい。会員各位には調査のご協力に感謝申し上げる。

審査全般に関する意見・要望(自由記述)※一部抜粋

●基金と国保で審査基準が違うので統一してほしい。審査基準が変わる場合は事前に連絡してほしい。
●査定理由は記号詳記で納得しますが、審査結果は今後のレセプト請求に生かすため、理由を詳しくお知らせいただけると勉強になります。
●負担金に対する返戻に対してなぜ間違っているのか、詳しい説明がほしい(詳しい説明がある場合とない場合があるため)。
●2回目は不要な検査、余計な検査だと、患者の現状を知るはずのない医師が判断されることに納得がいきません。我々は決して利益のために余計な不要な検査は行っていないつもりです。
●明らかな病名漏れや病名間違いの場合は減点せずに返戻してほしい。
●審査委員に質問しやすいような制度、環境にしてほしいです。
●増減点通知書や当座口振込通知書などをもっと分かりやすくしていただきたいです。支払基金では各種通知書の見方がありますが、初歩的なことまで説明がなく、細かい説明もないので理解が難しいです。

図1−1 審査に対する満足度(基金)
図1−2 審査に対する満足度(国保)
図2−1 減点の頻度(基金)
図2−2 減点の頻度(国保)
図3 審査委員会に期待すること(複数回答)
( )内は回答数

調査結果はこちら
https://wp.me/pcX6Kq-cXE

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