先日、協会は人材確保と定着率アップをテーマに雇用管理講習会を開催した。最近では企業が安定した労働力確保に努めたことで、2021年には正社員が3565万人と過去最高に達した半面、人材不足の業界ではさらに人手不足に拍車がかかり、特に介護・医療・保育分野は深刻と報告があった。昨今、人材紹介業者が働き手を紹介し紹介手数料を受け取り、短期間でその働き手に「お祝い金」を出し転職を促し、次の転職先から紹介手数料を受け取る行為を繰り返す違反行為が横行しているそうだ。厚生労働省も問題視し、「お祝い金」を出して転職を促すことを全業種において職業安定法に基づく指針で禁止した。しかしこのような違反行為は後を絶たず、会員各位も留意いただきたい。
24年10月に全国の最低賃金が上がり、京都府も1008円から1058円と50円の引き上げとなった。25年は全国の最低賃金1000円以上が目標に掲げられ、24年と同額程度の引き上げではとの話も出ていた。診療報酬が引き上げられないまま最低賃金が上がれば医療機関への影響は計りしれない。
24年12月に厚生労働省は自治体向けに物価高騰に対し重点支援地方交付金を活用した支援、医療施設等経営強化支援事業として生産性向上・職場環境整備等支援事業などの実施の通知を発出した。物価高騰への支援は光熱費と食材費支援として医療機関に補助金が支給される。生産性向上・職場環境整備等支援事業はICT機器等の導入による業務効率化や給付金を活用したさらなる賃上げを行った医療機関に補助金が支給される。しかし、「25年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ている医療機関」が対象で、届け出ていない医療機関は対象外だ。(関連2面)
補助金自体を否定するものではないが、単発の補助金が繰り返し行われても医療機関の経営改善の根本的な解決にはならない。ましてや生産性向上・職場環境整備等支援事業は明らかにベースアップ評価料の届出医療機関を増やすための政策誘導としか思えない。やはり本筋は診療報酬の引き上げであり、しっかりと報酬を得た上で物価高騰や人件費上昇に対応できる経営基盤が構築されるよう国へ強く要請していきたい。
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