医界寸評  PDF

 2024年度の診療報酬改定はまさに財務省主導であった。2020年から2022年まで直近3年間の2万2千の医療法人の事業報告書等を集計し、財務省「機動的調査」として2023年秋に発表した。この調査で、診療所の2022年度経常利益率は8.8%と極めて良好な経営状況にあり、他産業との比較から、診療所の報酬単価を5.5%引き下げるべきと衝撃を与えた。さらに診療所院長の平均給与は3千万円で、院長給与費の割合が高いとして、現場従事者の処遇改善に向け賃上げ実績に応じて報酬上の加算措置を検討すべきと改定の中身まで言及した▼対し日本医師会は、2023年度の医療経済実態調査からコロナ報酬特例を外すと診療所の損益率は悪化しており、2022年度は約3割が赤字とし、さらに院長給与も中央値は相当低く、最頻値は平均値の約半分と反論▼結局、改定率は本体部分プラス0.88%で、内0.89%は職員のベースアップ分で、生活習慣病を中心とした管理料等がマイナス0.25%と改定の細目まで決められ、中医協の形骸化も甚だしい。ベア評価料の届出状況は診療所が2 3割、病院が7 8割程度で、日医は算定を薦めているが、手続き等を思い切り簡素化しないと無理だろう。次期改定では日医総研がしっかりした経営実態調査をするとのことで期待したい。(彦)

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