なんでも書きましょう広場 障害者スポーツへの医科学支援 動作解析でパフォーマンス向上 徳永 大作(宇治久世)  PDF

 京都府立心身障害者福祉センター内でリハビリテーション病院に隣接する体育館「サン・アビリティーズ城陽」は京都府内のパラスポーツの基幹的施設として、年間計6万人を超える利用者があり、ボッチャ、車いすバドミントン、車いすバスケットボール、アーチェリーなどが活発に行われてきました。2016年にはスポーツ庁からパラ・パワーリフティング競技のナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点施設として指定されました。NTCの指定は府内で初めてでした。
 2016年の7月には京都府副知事をはじめとする多数の来賓を迎えてNTCの開所式典が催され、第1回の強化合宿も行われ、リハビリテーション病院の障害者スポーツ医と職員による医科学的支援も始まりました。2018年5月には、「第1回チャレンジカップ京都」が開催され、その後も毎年開催されることになりましたが、2020年3月に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令され、以後半年以上の間はほとんど活動ができませんでした。しかし、2020年10月に、屋内開催のパラスポーツとしては全国の先駆けとなる第3回チャレンジカップ京都がサン・アビリティーズ城陽で開催されました。
 私たち医師がNTCで行っている医科学支援としては、「選手のメディカルチェック、書類作成、カルテ管理」「クラス分け」「選手・スタッフ対象の講習会」「スポーツ障害の予防、治療」「合宿、国内外の大会への帯同」がありますが、特徴的な活動として動作解析があります。これは、パラ・パワーリフティングの試技動作を3次元的に記録し、オリジナルに開発したソフトウエアを用いて即時に可視化して再現・記録するものです。横断的・経時的な定量的評価を行うことでパフォーマンス向上につなげたいと思っています。
 NTCでは選手、競技連盟のスタッフ、コーチ、トレーナー、行政の職員、医師、PT、OT、栄養士などがチームとして活動する体制が望ましく、センターにおける取り組みが発展して、パラスポーツNTCのモデルケースとなればと考えています。
 本年開催されるパリ2024パラリンピック競技大会の日本代表には、男子107s級の佐藤和人選手が決定しました。緊迫・爆発・歓喜の3秒ドラマ「パラ・パワーリフティング」をぜひ観戦して下さい。きっと、ファンになりますよ。

とくなが・だいさく
京都府立心身障害者福祉センター附属リハビリテーション病院(京都府立城陽リハビリテーション病院)院長、整形外科医

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