提供体制充実こそ対感染症に必須かかりつけ医制度化に警戒緩めず 理事長 鈴木 卓
京都府保険医協会会員の皆様、ご家族、従業員の皆様、新年明けましておめでとうございます。年頭に当たって、ご活躍の決意を新たにされていることとお慶び申し上げます。
新型コロナ感染症の蔓延が4年目を迎えています。本格的な収束はまだまだ先のように思われます。新年早々から忙しく対応に追われる皆様方のご奮闘には心より敬意を表します。
それにしても繰り返される医療逼迫の原因は何か? 一言で言えば、日本の医療に余裕がないことです。医師・スタッフ・保健所の人員の余裕、各人の労働時間の余裕、ゾーニングと換気に対応できる診察室・病室・設備の余裕。そしてこれらの余裕のなさは、これまでの平時でぎりぎり回してきた医療・介護・公衆衛生の提供体制抑制政策に根源があります。非常時と言われても、ない袖は振れない状況です。最も重要なことはマンパワーの充実で、短期的解決は困難な面がありますが、正面から向き合うことが必要です。改正感染症法では人員数は現状のままで追加は一時的な応援体制の確保に留め、医療機関に対する協定と罰則で新興感染症をやり過ごそうとしています。しかし、他の府県への医師派遣などは全国的なパンデミック下では非現実的です。
かかりつけ医制度を巡って昨年後半における政府系各検討会議では議論が混乱してまとまりませんでした。それにもかかわらず強引に、とにかく今次国会で法律化が予定されています。当初は緩やかな要件で医療機関・患者双方からの“手上げ方式”としておく。そしておそらく関心が薄れる数年後に法を改定して制度の強制化を果たしていく。その中では包括支払方式や登録制が入ってくるかもしれません。これまで幾度も見てきた“なし崩し手法”が彷彿とされます。かかりつけ医機能を持つ診療所を拡げていくことは必要ですが、現在の開業医がすでに有効に、効率的に果たしている機能を断ち切る形で選別、差別化を持ち込む方向には反対です。関連して出てくる外来機能報告制度、それを基にした紹介受診重点医療機関の認定に係わる動きも今年の課題となりそうです。さらにもう一つ、オンライン資格確認義務化・保険証廃止を撤回させる課題にも取り組んで行く所存です。
このように、さまざまな課題に直面している新年がスタートしました。協会に対する皆様方のご意見やご支援、ご指導をよろしくお願いいたします。そして、大変な中ではありますが何とか皆で力を合わせて乗り切るように、今年一年の皆様方のご健勝とご活躍を祈念いたします。
本年もよろしくお願いいたします。