初診料など不合理点数で意見交換
協会は右京医師会との懇談会を9月6日に開催した。地区医師会から6人、協会から5人が出席。右京医師会の寺村和久副会長の司会で進行した。
高島啓文会長が「本日は診療報酬の不合理や地域医療体制など、忌憚なく意見を交わしたい」とあいさつ。続いて、茨木和博理事長代行のあいさつ、各部会からの情報提供の後、鈴木卓副理事長から「診療報酬不合理是正」、渡邊賢治副理事長から「国が目指す地域医療体制と開業規制」について報告し、意見交換した。
地区から、高点数による集団的個別指導の対象点数は年間平均点なのか、それとも特定の時期のものかと質問があった。これに対し協会は、厚労省が近畿厚生局に送信するデータはいつのものか判らないと回答するとともに、京都の場合6年に1回指定更新時の指導があることから、高点数による集団的個別指導は廃止すべきと提起した。
診療報酬不合理是正の課題では、内科医が再診時に外来管理加算、特定疾患療養管理料を算定すると初診料より高くなる。繰り返し初診とは別に、全くの初診に高点数を設けても良いのではないかと提案があった。これに対し協会は、初診料が圧倒的に低い。初対面の患者には、既往歴の聴取、診断の絞り込み等、ある程度結論を導き出す高度な判断が必要であり、評価すべきと賛同した。
また地区から、多剤投与、長期投与など数の規制は、行政側の医療行為への縛りだとの意見があった。協会は、多剤投与の問題は、糖尿病と高血圧に他の疾病、痛風や腰痛などがあれば、必ず7剤を超える。それにいかに対応するか。医療内容への踏み込みは容認できず、7剤縛りの廃止を要求していると述べた。
さらに地区から、小児抗菌薬適正使用支援加算を算定できない耳鼻咽喉科医のジレンマが述べられるとともに、国が目指す地域医療提供体制と開業規制について、医師数不足か否かがポイントだ。京都は医師数が多い地域に分類されるだろうが、実感はない。国は具体的な偏在是正プランを示すべきだ。高齢者の生活圏は徒歩圏内のエリアで、偏在もその範囲内で考えるべきと述べた。これに対し協会は、地区に必要な医師数は、現場の人間にしかわからない。厚労省は医師需給分科会で医療需要の指標を作成し、診療科ごとに必要医師数を明らかにするとしている。医療需要の把握に国は各医療機関のレセプトデータを精査している。需給推計の算出方法だが、疾患別医師需給数が多いと医療費が膨らむので、経済的な意図的操作の可能性を指摘した。
その他、在宅医療・介護連携支援センターについて、地域の医師会の協力が不可欠であることなどが話題に上がった。
最後に松井亮好副会長が「従来は露骨な医療費抑制政策や国民皆保険を崩す動きで、医師会も一致団結しやすかったが、昨今は医師偏在など国民目線からは必要な改革と映る内容で、気が付けばいつの間にか医師が官僚の管理下に置かれ、医療費を抑制できる体制になっているかもしれない。今後ともよろしくお願いしたい」とあいさつがあり、閉会した。