「次世代医療基盤法(医療ビッグデータ法)」が5月に施行された▼全ての診療情報(検査・処置・診療明細書等カルテ内容全部)を収集するという。この情報は各医療機関の責任の下、契約事業者に売却し匿名化、暗号化される。そして第三者(研究機関・企業・事業者)に販売される。提供医療機関となるのは任意だが、提供医療機関を受診した患者は、初診時自らの診療情報の提供を拒否しない限り同意なく全て提供される▼日本医師会が反対していない現状では、レセプト電子化時と同様一部例外を除き参加せざるを得なくなるであろう▼現在、フリーアクセスで患者は複数の医療機関を受診可能だ。中に提供しない医療機関があればその人の医療情報は網羅されない。全医療情報収集のためにかかりつけ医制度が更に進められていくであろう▼この法は国民医療に資することを目的としていればまだしも、新薬開発・新産業創出が主眼になっている▼情報は元々患者のものであり、医療機関により医療情報化されている。法の施行に当たり、窓口負担の軽減や、初再診料アップを含む診療報酬制度の改善等、患者や医療機関への恩恵ある制度も同時に実施すべきである▼患者には何らメリットなく、医療機関が患者の診療データを業者に売り利益を得るとみなされては、また窓口トラブルの原因が増える。(恭仁)
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