代議員月例アンケート 110  PDF

2018年度改定、ここが問題だ
実施日=2018年4月19日~27日
対象者=代議員89人、回答数=33(回答率37・1%)
内 訳=内科系57・6%、外科系30・3%

加算・減算ばかりが目につく改定

 今回改定の問題点について、各代議員がどう考えているか質問した。

妊婦加算評価分かれる

 新設された初診料の機能強化加算について、届け出たのは24%であった(図1)。届け出た方に、初診患者全員に算定しているか質問したところ、全員に算定88%、患者を選択13%であった(図2)。
 その他、初診料の機能強化加算に対して「ご祝儀と言われるが、初診に関わる労力を考えれば妥当」「1人当たりの点数は増加するが、長期の受診実数は減少するのではないか。地域包括診療加算を算定してから年間受診(再診)は減少した」との意見が出された。
 初・再診料に新設された、①妊婦加算(時間内)②妊婦に対する時間外・休日・深夜加算③産科・産婦人科特例加算―のうち、①②は標榜科に関係なく算定できるが、知っているか質問したところ、知らなかった方が30%であった(図3)。知っていた64%の方に、算定にあたって困ったことを質問したところ、特にない62%、妊婦かどうか分からない19%、問診で妊婦と答えてくれない5%であった(図4)。
 その他、妊婦に関するこれら新設点数に対して「複雑な要素を持つ患者要件に加算をつけるのは良い」との意見がある一方、「意味不明な点数なので算定していない」「何の意味があるのか理解できない」「内科外来で算定する意味が分からない」との意見や、「妊婦に配慮した医療に対して算定するなら分かるが、そうではない場合、何故自己負担が上がるのかという不信感が生じるので適当ではない」との意見が出された。

終末期の医療決定GL読んだことない7割

 在宅患者訪問診療料のターミナルケア加算について「『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』等の内容を踏まえ、患者および家族等と話し合い、患者本人の意思決定を基本に、他の関係者との連携の上対応する」こととされた。このガイドラインについて、読んだことがない方が76%であった(図5)。あると答えた24%の方に対して、ターミナルと思われる患者に対して訪問診療を行った際、同ガイドラインを踏まえ、上記の算定通知で示されたプロセスを経て対応することは可能か質問したところ、分からない50%、可能だ25%であった(図6)。
 その他、 この算定要件に対して、「本人の意志決定が確認できないことが多い」との意見が出された。

BZ受容体作動薬減算5割が廃止すべき

 新設された処方料・処方箋料のベンゾジアゼピン(BZ)受容体作動薬の長期継続処方の減算規定について、減算規定の対象薬剤に非BZ系(ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン)も含まれることについて、知らなかった方が39%であった(図7)。現にBZ受容体作動薬を投薬している患者を診療している方は、88%であった(図8)。いると回答した方に、①「不安または不眠に係る適切な研修」または「精神科薬物療法に係る適切な研修」を終了か、②直近1年以内に精神科医から抗不安薬・睡眠薬の処方について助言を得ている場合は減算規定から除外されるが、条件を満たすことが可能か質問したところ、不可能45%、分からない31%、可能24%であった(図9)。最後に、全員にこの減算規定をどう考えているか質問したところ、廃止すべき49%、算定制限は必要21%、非BZ系は除外すべき18%であった(図10)。
 その他、減算規定に対して、「医師の自覚的な努力によるべき。点数誘導はよくない」「新規投薬患者に限って制限すべき」「無制限に抗精神薬・眠剤を投与することは有害だが、すでに長期間服用し依存状態になっている患者はどうしろというのか」という意見がある一方、「妥当だ」という意見も出された。

「抗微生物薬適正使用の手引き」読んでない7割

 地域包括診療加算等、小児科外来診療料、小児かかりつけ診療料を算定する場合は、抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に資する取組を行うことが算定要件に追加されたが、参考とする『抗微生物薬適正使用の手引き』を読んだことがない方が61%おられた(図11)。あると回答した39%の方に、同手引きの内容をどう思うか質問したところ、問題もあるが対応したい62%、妥当だ15%、不適切だ15%であった(図12)。
 なお、新設されたオンライン診療料について、届け出ている回答者はいなかった。この点数については、「最近の時代の流れなのかとは思うが、医師の負担が大きい」「患者情報不足による誤診、見逃しによる医師と患者間のトラブル(懸念)」などの意見が出された。
 最後に、自由意見では、「内科診療所としてマイナス改定。地域包括診療加算など、時間外労働を強制する制度はどうかと思う。24時間加算などふざけている」との意見が出された。

手引、GL周知されず導入は拙速

 アンケート結果からは『人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン』『抗微生物薬適正使用の手引き』について普及が不十分であることが伺える。BZ受容体作動薬の取り扱いは、2017年3月17日の厚労省薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会での検討により、同年3月21日に指示された「使用上の注意」の改訂に基づく改定だが、周知がされていないことは明らかだ。今回改定での導入は、拙速と言えるのではないか。
 妊婦の外来管理に対する評価は「妊娠中に産科疾患以外の疾患で外来を受診した場合、妊娠の継続や胎児に配慮した診療等、さまざまな合併症等を考慮した適切な診療が必要」として新設された。この導入の趣旨を事前に十分広報すべきではなかったか。
 本アンケートの結果は、今後、協会として取り組むべき不合理是正要求および2020年度改定に向けた改善運動の基礎としたいと考えている。

図1 機能強化加算届出について
図2 初診患者全員に算定しているか?
図3 妊婦加算等、標榜科に関係なく算定できることについて
図4 算定にあたって困ったことは?
図5 ターミナルケアのガイドラインを読んだことは?
図6 対応することは可能か?
図7 BZ長期処方減算規定の対象薬剤について
図8 投薬している患者は?
図9 条件を満たすことは可能か?
図10 長期継続処方の減算規定について
図11 『抗微生物薬適正使用の手引き』を読んだことは?
図12 手引きの内容について

ページの先頭へ