耳鼻咽喉科
牛嶋 千久
2018年度の診療報酬改定で新たにオンライン診療料が新設されたが、算定可能条件としていくつかの管理料を算定していることが掲げられている。残念ながらこの中には耳鼻咽喉科で算定できるものは少なく、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料も含まれていないため、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP使用患者も対象にはならない。また、外来における抗菌薬適正使用の取り組みに対する評価として「小児抗菌薬適正使用支援加算80点」が新設されたが、小児科のみを選任する医師が診療を行った初診時のみ算定するとあり、小児の急性気道感染症を頻回に診る耳鼻咽喉科医は対象とされておらず納得のいかない思いである。
日医からの最重点要望項目であった在宅医療における「1患者1医療機関」の見直しが行われた結果、在宅の主治医から他の診療科の医師に診療を依頼した場合に限るという条件で複数の医療機関が訪問診療を行うことが可能になった。在宅での耳鼻咽喉科医による嚥下機能検査が進むきっかけになればよい。在宅医療では在宅持続陽圧呼吸療法用治療機加算 2、CPAPを使用した場合の1100点が1000点に減点となった。が、CPAPを用いている患者について、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、遠隔モニタリングを用いて療養上必要な指導を行った場合は、遠隔モニタリング加算150点が算定可能となった点は評価できる。ただし施設基準の届出を要する。
検体検査の項目で耳鼻咽喉科関連では甲状腺機能関連の検査が減点となった。遺伝学的検査が新設され先天性難聴の検査が可能になった。生体検査では内視鏡下嚥下機能検査が720点と増点された。
処置では耳垢栓塞除去(複雑)両側が150点から180点に増点、乳幼児加算が50点から55点に増点された。前回改定時取り残されていた点であり当然と考える。
手術では鼓室形成手術が見直され、耳小骨温存術3万4660点と耳小骨再建術5万1330点に分けられた。人工中耳埋込術ほかいくつかの項目が新設されたが、いずれも施設基準が設けられていることに留意が必要である。