2016年度診療報酬不合理是正要求について
対象者=代議員91人 回答数=37人(回答率41%)
調査期間=2016年7月8日~7月22日
協会は4月、「16年度診療報酬改定の不合理点」について全会員アンケートを実施した。その結果は16年7月5日付本紙1、2面に掲載のとおり。協会は同アンケートの結果および厚労省疑義解釈(Q&A)等を踏まえた「不合理是正要求書」を6月14日の理事会でまとめ、20日付で厚労大臣、副大臣、大臣政務官、中医協会長および同全委員に対して送付して是正・改善を要請していた。
これに続き、今後、京都府保険医協会として取り組むべき不合理是正要求運動および18年度診療報酬改定に向けた改善運動の基礎とするため、16年度診療報酬不合理是正要求について、協会の各代議員に対してアンケートを実施した。
回答者の95%が診療所、5%が病院だった。また、62%が内科系、30%が外科系だった(8%が未回答)。
7つの不合理是正重点項目
協会保険部会としては、全会員アンケートの結果等を踏まえ、16年度改定における不合理点を、次の7点に絞っている。
①低すぎる基本診療料(初・再診料、入院料)を引き上げること。
②在宅時医学総合管理料(在医総管)、施設入居時等医学総合管理料(施設総管)は「単一建物診療患者の人数」に応じて算定する方法を廃止し、現在の1人の点数に統合すること。
③在医総管、施設総管の重症者加算の頻回訪問加算600点は、1000点に戻すこと。
④鼻腔・咽頭拭い液採取は、同一日に複数回採取し、複数種類の検査を実施した場合、実施回数分の算定を認めること。
⑤1処方につき7種類以上の内服薬の投薬を行った場合、薬剤料を9割に減額する取扱いを廃止すること。また、7種類以上の内服薬の投薬を行った場合、13点低い処方料、28点低い処方せん料を算定する取扱いを廃止し、処方料を42点、処方せん料を68点に統一すること。
⑥入院外の患者に1処方につき70枚を超えて湿布薬を投薬した場合は、調剤料、処方料、薬剤料(70枚超過分)、調剤技術基本料を算定できない取扱いを廃止すること。
⑦入院外の患者に湿布薬を投与した場合は、枚数にかかわらず、「摘要」欄(処方せんの場合は処方せんの「処方」欄)に投与量を記載した上で、1日用量(処方せんの場合は1回当たり使用量および1日当たり使用回数)または投与日数を記載する取扱いを廃止すること。
これらの是正要求項目に対する支持率は図1~7のとおり。
7種類以上の内服薬投薬の算定制限廃止を8割以上が支持
①⑤⑥⑦は支持率50%を上回った。特に⑤7種類以上の内服薬投薬の算定制限は、8割を超えて支持されている。
②③の在医総管、施設総管に関する要求項目は、取り組む医療機関が限られるため「分からない」が50%を超えているが、協会としては不合理点数であり、当然改善すべき取扱いと考えている。
寄せられた自由意見では、①基本診療料について「基本的なドクターフィーは、もっと高く評価されるべき」「調剤報酬とのバランスがとれていない」「病院からの逆紹介で、10ページ以上の情報提供書を持参されると30分以上かかることもある」という意見がある一方、「管理料や加算で対応した方が良い」との意見もあった。
②在医総管、施設総管については「医学的管理の内容は患者の入居先によって変わるものではない」という意見があった。
⑤7種類以上の内服薬投薬の算定制限については「副作用チェックが大変なので逆に点数を上げてもらいたい」「高齢者になれば複数の疾患を持っておられる」「数件の他科で処方されている薬をまとめると、どうしても数が増えてしまう。むしろ評価してほしい」「血圧症、糖尿病、慢性腎炎など重なればすぐ7種類以上になる」「すき好んで7種類以上処方しているわけではない」などの意見が出された。
⑥湿布薬の70枚超投与制限については「全身の痛みがある場合、通院困難であれば70枚以上は必要」「来院回数、疾患別部位を無視したやり方に根拠はない」などの意見が出された。
⑦湿布薬の記載要領については「病名に対して相応の枚数であれば書く必要を認めない」「病名欄を見れば数多く必要か否か見当がつくであろう」などの意見が出された。
最後に、新点数である薬剤総合評価調整管理料について質問した。結果は図8~10のとおり。
回答者の9割超が算定していなかった。算定しない理由として5割以上が「簡単には処方を減少できない」と回答している。また、回答者の5割以上が「廃止すべきだ」と回答している。この結果を受け止め、対応を検討していきたい。
診療報酬の不合理是正要求運動は重要である。アンケート結果に基づき、保団連と共に運動に取り組んでいきたい。