2014診療報酬改定こうみる(1)入院外(全体)
消費税補填でごまかし!大きなマイナス改定と規制強化
副理事長 鈴木 卓
13年12月、大臣折衝の末発表された今次診療報酬改定率はプラス0・1%と宣伝された。しかしこれはたまたま消費税増税分が上乗せされた見せかけで、増税補填がかぶらなければマイナス1・26%という大きなマイナス改定であった。プラス0・001%と言われた前回の改定実額の本体分5500億円が今回の改定額正味分では400億円と大幅減である。この差の理由は薬価等改定分を診療報酬本体に繰り込まない掟破りの手法であった。一方、消費税増税対応分が医科2200億円(診療所600億円、病院1600億円)とされたが、この額では補填不足との後ろめたさから、別に基金904億円を創設するなどゴマカシに躍起である。一般医療機関にとっては増税負担分も還元されない低報酬額であり、容認できないことを国民に訴えていく必要がある。また今後の消費税対応については付帯意見にも盛り込まれず、このままズルズル10%を迎えるリスク(診療報酬対応)が残った。
「機能分化・外来在宅充実」の強行
さて改定の中身を一言で言えば、基本方針にある「医療機関の機能分化・外来在宅充実」の強行であり、大規模病院以外では「充実」の報酬額としてまた医師労働として厳しい内容である。特に入院では7対1病床を9万床ふるい落とそうと算定要件に大鉈が振るわれ、入院一般に在宅復帰・退院率または退院加算が設定され、外来・在宅が患者の受け皿とされている。
その入院外(外来)では、まず地域包括診療料という定額制が新設された。地域におけるかかりつけ医(主治医)のゆるやかなゲートキーパー機能を期待された設定であるが、算定要件が厳しく、ほとんどの医療機関では取れない。要件を緩めた地域包括診療加算でも労力に見合わない低点数である。この地域包括診療料や診療加算は、将来の患者の囲い込みや人頭払への危険もはらんでおり、看過することはできない。また要件の一つにある院内処方優先等は厚労省が否定しようとも医薬分業化の逆行であり、一部の大手薬局チェーンへの誘導にもなろう。さらに在宅療養支援診療所では実績要件強化により届出を返上する医療機関が出てこよう。これらは入院外患者の受け皿を拡げようとして狭める、診療所には取れない・取らさない隠れた医療費抑制である。
在宅においては、集合住宅等の同一建物患者に対する訪問診療料・在医総管等の大幅減額が設定された。サ高住における一部悪徳業者の不適切事例を逆手に取った報酬抑制策である。対策は療養担当規則による紹介料禁止だけですむ話である。改定は足代と個々の患者管理を無理やり同列視したものであり、良心的に訪問診療を行って来た医療機関には労働内容が評価されず、経営的にも大打撃となる。要介護被保険者等に対する維持期リハビリはさらに2年間介護保険移行が延長されたが、実績がないと減額される。その他うがい薬や胃瘻(実績のないことが評価される)に対する扱いなど姑息な医療費抑制策も目に付く。
世の中の規制緩和や診療報酬体系簡素化の掛け声とは真逆のますます事細かく複雑化・規制強化された改定である。