2013年京都府内二酸化窒素(NO2)測定結果  PDF

 2013年京都府内二酸化窒素(NO2)測定結果

 
府内の平均化傾向が進行中
今こそ「クルマ社会」からの脱出を
環境対策委員会(京都府保険医協会 京都府歯科保険医協会)
 
実施日 2013年12月5日(木)〜6日(金)午後6時の24時間
発送数 1865(医科:1387、歯科:370、定点:111)
回収数 914(回収率 全体:49%、医科45%、歯科49%)
 
 
表1 2013年度NO2測定データ集計一覧 ※白抜き文字は、京都市基準超(41ppb以上)、空白は、該当サンプルなし
 
郡市区 集約数 サンプル数  平均値(ppb)*家の中を除く 平均値(ppb) 除外 最高値*家の中を除く 最低値*家の中を除く
幹線
道路 その他の道路 道路
以外 2階
以上 家の中
北区 45 44 28 29 12 29 23 24 5 27 4 16 1 8 53 16
上京区 26 26 32 29 4 33 21 25 1 3 49 22
中京区 51 49 30 34 8 30 31 27 3 27 7 28 2 10 42 18
下京区 40 38 32 35 7 31 20 25 2 33 9 24 2 12 43 18
南区 30 30 32 35 8 30 17 32 4 33 1 3 43 16
左京区 57 56 31 36 15 29 34 26 4 29 3 19 1 11 48 16
右京区 43 42 29 31 10 28 26 26 4 30 2 23 1 8 43 16
西京区 36 36 31 33 1 31 27 30 2 27 6 10 89 21
東山区 13 12 33 35 3 31 6 27 1 39 2 19 1 1 43 19
山科区 27 27 31 34 4 31 19 28 2 32 2 9 38 19
伏見区 52 51 36 41 9 35 34 35 4 31 4 19 1 26 67 19
長岡京市 21 21 30 31 4 30 13 31 2 27 2 6 43 19
向日市 14 14 32 33 3 32 11 3 43 23
乙訓郡 2 2 30 30 2 1 33 27
宇治市 35 35 32 32 32 28 1 38 2 3 45 11
城陽市 17 16 33 41 2 32 14 18 1 4 50 16
久世郡 3 3 40 42 1 39 2 1 42 36
八幡市 8 8 32 32 8 4 44 18
京田辺市 12 11 32 36 1 32 8 32 2 23 1 6 41 19
綴喜郡 2 2 22 25 1 19 1 0 25 19
木津川市 15 15 29 31 6 27 8 31 1 1 33 22
相楽郡 11 11 31 32 2 31 9 0 53 15
亀岡市 23 23 25 35 1 26 14 25 3 21 5 1 35 13
南丹市 13 13 21 20 11 30 2 0 43 13
船井郡 1 1 25 25 1 1 25 25
綾部市 7 7 21 22 6 19 1 2 28 16
福知山市 18 17 23 23 15 16 1 27 1 44 1 3 44 16
舞鶴市 18 18 25 22 1 25 16 22 1 8 36 19
宮津市 4 4 19 19 4 1 23 13
与謝郡 4 3 18 18 3 11 1 1 26 11
京丹後市 8 7 18 19 2 18 5 16 1 1 22 16
合 計 656 642 105 440 43 54 14 148
 
 
表2ワースト10(「家の中」は除く)
 
順位 ppb 場所
1 89 西京区大原野東野町
2 67 伏見区下鳥羽広長町
3 56 伏見区舞台町
4 53 相楽郡精華町字菱田
4 53 北区上賀茂藤ノ木町
5 51 伏見区小栗栖南後藤町
6 50 城陽市中芦原
6 50 伏見区桃山町金森出雲
7 49 上京区大宮通上立売上ル
7 49 伏見区魚屋町
 
表3ベスト10(「家の中」は除く)
順位 ppb 場所
1 11 与謝郡与謝野町下山田
1 11 宇治市広野町茶屋裏
2 13 南丹市美山町安掛下
2 13 宮津市岩ケ鼻
2 13 亀岡市南つつじケ丘桜台2丁目
3 16 南丹市美山町鶴ヶ岡釈迦堂前
3 16 左京区大原井出町
3 16 南区吉祥院井ノ口町
3 16 城陽市寺田垣内後
3 16 右京区太秦辻ヶ本町
3 16 福知山市字裏ノ
3 16 福知山市荒木
3 16 南丹市園部町美園町5号
3 16 綾部市上杉町渋市
3 16 京丹後市峰山町白銀
3 16 南丹市日吉町保野田ヒノ谷
3 16 与謝郡与謝野町字四辻
3 16 京丹後市久美浜町湊宮
3 16 南丹市美山町鶴ヶ岡山越
3 16 綾部市鍛治屋町花ノ木
 
 
表4NO2濃度平均値年次推移(ppb)
 
郡市区 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
北区 25 22 23 20 21 28
上京区 32 24 27 24 21 32
中京区 34 24 28 22 24 30
下京区 36 28 29 23 24 32
南区 36 28 31 26 25 32
左京区 29 22 25 21 20 31
右京区 28 22 25 21 20 29
西京区 31 22 25 22 21 31
東山区 35 27 31 23 24 33
山科区 35 25 27 23 24 31
伏見区 36 27 31 25 25 36
長岡京市 30 23 23 22 23 30
向日市 33 24 24 22 24 32
乙訓郡 25 24 19 20 22 30
宇治市 34 25 28 22 25 32
城陽市 32 24 26 22 28 33
久世郡 39 27 35 30 22 40
八幡市 33 26 35 25 25 32
京田辺市 30 23 27 24 25 32
綴喜郡 28 20 27 17 21 22
木津川市 29 24 23 19 22 29
相楽郡 32 24 21 19 19 31
亀岡市 27 20 20 17 20 25
南丹市 23 17 19 16 16 21
船井郡 28 16 17 17 17 25
綾部市 29 20 21 18 16 21
福知山市 28 18 26 17 18 23
舞鶴市 28 21 21 17 17 25
宮津市 26 19 21 18 15 19
与謝郡 24 17 16 12 18
京丹後市 24 14 20 14 11 18
天候 雨後曇 雨時々
曇時々
一時雨 曇時々
晴・
微風
 
 
はじめに
 保険医協会環境対策委員会の呼びかけに応じていただいた、会員の皆様による京都府内二酸化窒素大気汚染調査も今回で通算13回(12年間)を数えました。ご協力に心より感謝申し上げます。
 これまでの調査結果からは、京都市内、京都市以外の府内でNO2による大気汚染は減少傾向にありますが、これまで汚染が少なかった地域が減り、拡散され、平均化していることが示唆されます。自動車の排気ガス対策、低燃費、ハイブリット車・電気自動車の普及、若者のクルマ離れ、自動車交通量の減少などにより、大気中のNO2濃度は低下傾向にあるとされています。しかし、地球温暖化の要因であるCO2は、わが国では増加(1990年比6・3%増加)傾向で、12年度の運輸部門もその18%(90年19%)を担っています。
 
測定方法
 今年度も、京都府保険医協会会員のここ数回のNO2測定にご協力をいただいた方を対象に、プラスチックカプセル(天谷式NO2簡易測定カプセル)を郵送させていただきました。このカプセルを原則、会員医療機関玄関先あるいは近辺道路の、地上から1・5mの高さに粘着テープで取り付け、24時間大気にさらした後回収、協会へ返送していただきました。
 カプセルは配布1865個、回収914個、回収率は49%(12年51%、11年54%、10年52%、09年53%、08年49%、07年45%、06年35%)でした。07年からは配布対象の協力者を絞っています。測定に問題あるサンプルが148個あり、統計からは除外しました。またその他として、四条烏丸付近、油小路と十条通、横大路付近、五条御前の定点観測に111個を用いました。
 
測定は大気汚染全国一斉測定日に合わせて
 まずは、測定を大気汚染全国一斉測定日に合わせたため、レセプト作成中でご迷惑をおかけしましたことを、お詫び申し上げます。測定は大気汚染全国一斉測定日(年2回、他の1回は6月の第1木・金曜日)に合わせた13年12月5日(木)原則午後6時から12月6日(金)午後6時までの24時間で、5〜6日の天候は日照時間4・1時間、南西の風・風速4m、晴れ時々曇り、最高気温15・6℃、平均気温9・4℃の比較的暖かい24時間でした。大気中のNO2濃度は天候や空間・地形と相関し、晴れ、無風の日は比較的高く、雨や風の強い日には、測定値は低く出ます。また狭まった空間や地形(特に盆地)ほど拡散されにくいため高い値が、広い空間ほど低い値が出ます。
 
測定基準
 測定基準は例年通り、国の定めた環境基準(78年)41〜60ppbに準じて、20ppb以下を“きれい”、21〜40ppbを“少し汚れている”、41〜60ppbを“汚れている”、61ppb以上を“大変汚れている”と分類しました。なお、京都市は当面の環境保全基準を40ppb(86年以前は20ppb)以下としています。
測定結果
 13年度NO2測定データ集計一覧は表1に示します。京都市内の各区の「平均値」は、高い順に、伏見区が36ppb、次いで東山区33ppb、上京区・下京区・南区32ppb、左京区・西京区・山科区31ppb、中京区30ppb、右京区29ppb、北区28ppbとなっています。市内のすべての区が、“少し汚れている”に入っていて、最も高い区と最も低い区の差は8ppbです。京都市以外の府内では、久世郡が40ppb、次いで城陽市33ppb、宇治市・京田辺市・向日市・八幡市32ppb、相楽郡31ppb、長岡京市・乙訓郡30ppb、木津川市29ppb、亀岡市・船井郡・舞鶴市25ppb、福知山市23ppb、綴喜郡22ppb、南丹市・綾部市21ppb、宮津市19ppb、京丹後市・与謝郡18ppbとなっています。“きれい”の地域は、宮津市、京丹後市、与謝郡の3地域です。
 ワースト10とベスト10は表2・3に示しましたが、今回61ppb以上の“大変汚れている”地点は、2カ所でした。20ppb以下の“きれい”で、さらに16ppb以下は、今回20カ所もみられました。
 NO2濃度平均値年次推移(表4)で過去13回・12年間の経過を見ますと、測定し始めの頃と比較し、NO2濃度は高い地域と低い地域の差が縮まり、大気汚染が府内全般に及んでいることを伺わせます。
 阪神高速道路8号京都線(「京都高速道路」)は、11年3月27日に斜久世橋区の完成により、一気に山科が山科トンネル〜十条〜油小路〜伏見を経て、第2京阪道路につながりました。5年前から測定を開始した高速道路出入口付近の十条通付近は41・5(北)〜42・4(南)ppb、油小路通付近は47・9(西)〜45・1(東)ppb、京都市内で最も汚染の強い横大路付近は52・7(北)〜55・4(南)ppb、烏丸蛸薬師の京都府保険医協会事務所は34ppb、四条烏丸交差点付近は48・7(北)〜45・2(南)ppbで、いずれも“汚れている”に属しています。元京都府医師会館近辺の五条御前交差点は、今回52ppbでした。
 
大気汚染
 人間の経済・社会活動にもとづく物質の影響で、大気が汚染されることを大気汚染といいます。大気汚染物質には、酸性雨、光化学オキシダント、窒素酸化物、粒子状物質、硫黄酸化物、一酸化炭素、ダイオキシンなどがあります。世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、13年10月17日、大気汚染そのものに発がん性があるとする見解を発表しました。100万人規模の疫学調査を精査し、1千以上の科学論文を検討した結果、「汚れた大気にふれると肺がんになる」とするのに、「十分な科学的根拠がある」と判断。五つある発がん性分類で、一番危険な「発がん性がある」グループ1に位置づけました。10年は、大気汚染が原因の肺がんで、世界で22万2千人が死亡したとのデータも示しました。さらに、中国の大気汚染で注目されたPM2・5などにも発がん性があると認定しました。
 私たちは大気中のNO2を測定することで、大気汚染の程度を推定しています。ものが燃える時、大気中の窒素と酸素が高温に加熱され、化学反応を起こし、NOならびにNO2が発生します。現代の大気中のNO2は、50%以上は自動車による排ガスです。NO2の人体への影響は、水に難溶性のため上気道で吸収が行われないので刺激が感じられず、すべて深部の肺胞に無刺激で到達します。そのため、上気道での沈着が少なく、細気管支や肺胞などの下気道に影響を与えます。NO2の高濃度(2500ppb以上)吸入では吸入直後は無症状ですが、数時間後に咳漱、発熱などの症状が始まり、急速に肺水腫へと進行します。また、数週間の潜伏期を経て、繊維性閉塞性細気管支炎(BFO)を発症させる可能性があります。NO2濃度と喘息の発症率とは相関関係にあり、NO2自体は無機化合物のため喘息の抗原物質とはなりにくいものの、気道の線毛を脱落させ、アレルゲン作用を増強させます。またTリンパ球やBリンパ球の増強に関係し、いったん患った喘息をさらに悪化させます。
 環境省の発表によりますと、11年度のNO2の年平均の推移については、近年ゆるやかな低下傾向が見られるとしています。NO2を測定している自動車排出測定ガス測定局の、環境基準達成率は02年83・5%でありましたが、10年には97・8%、11年には99・5%となっています。私たちが測定してきた京都府のNO2測定値も、同様の傾向を示しています。NO2同様、浮遊粒子状物質も大気汚染、人体への健康影響に大きな役割を果たしています。浮遊粒子状物質(SPM:Suspended Particu-late Matter)とは大気中に浮遊する粒子直径が10ミクロン以下のものをいいます。SPM中のさらに粒子直径が2・5ミクロン以下のものをPM(Particu-late Matter)2・5と呼んでいます。
 
PM2・5、デイーゼル排気微粒子の毒性について
 現在、中国東部でPM2・5を含んだ濃霧で、深刻な喘息や呼吸困難などの健康被害が起きています。テレビや新聞の報道で、霧でかすむ北京や上海の市街の光景を目にされたことがあると思います。PM2・5については、環境省は00年9月、年平均(長期基準)で1あたり15以下、日平均(短期基準)で同35以下という環境基準を決めています(WHOの指針では年平均10、日平均25pgと日本の基準よりも厳しくなっています)。さらに、13年2月に暫定指針として、日平均70/を超えると予想される場合に、注意喚起を行うこととしています。
 人間が呼吸を通して微粒子を吸い込むと鼻、咽喉、気管、気管支、肺など呼吸器に沈着することで健康への影響を引き起こします。粒子径が小さいほど肺の奥まで達する可能性が高く、PM2・5を吸い込めば肺の奥深く、血管にまで入り込み、喘息、気管支炎、肺がん、心疾患などを発症させ、死亡リスクを高めるとされています。このPM2・5の中に、特に有毒なデイーゼル微粒子(DEP:Diesel Exhaust Particulate)が含まれています。DEP中には、非常に有害な発がん物質やダイオキシンなど、様々な毒性の強い有機化合物がたくさん含まれていて、肺胞に達し血液内に入っていきます。DEPはこれまでの研究成果や動物実験などから健康への影響として、㈰肺がん㈪アレルギー性鼻炎㈫気管支喘息㈬食物アレルギー㈭自己免疫疾患㈮環境ホルモン作用—などを引き起こすことが知られています。そのため、日本を含めた先進国で喘息や花粉症などの粘膜アレルギーの増加の原因物質として、DEPは大いに注目されています。
 PM2・5は、今年も日本では、広域的に季節により、環境基準を超える濃度が一時的に観測されましたが、大陸からの越境汚染と都市汚染の影響が複合している可能性が高いとされています。
 
考察
 今回のNO2測定値はここ数年と比べると、高い値が出ています。測定条件の中で気象が大きく関係し、ここ数年は測定日の天候は曇、雨などが多く、風も強い日で、今回のような晴れ、微風であった天候が少なかったせいかと考えられます。09年のリーマンショック以来、交通量が減少し、クルマの燃費向上・排気ガス対策が進み、NO2も減少したかと思われましたが、今回の測定値は08年頃のデータと近似していて、依然として大気汚染は持続しているようです。ここ数年内に、阪神高速8号京都線や京都府自動車縦貫道などの完成で、京都市内や府下一円にクルマが高速で往来できるようになりました。測定開始の頃と比較して、各地域の高低差は縮小し、大気汚染が拡散していることを示唆しています(表4)。
 向日市、京都市南区、西京区にまたがる広大なキリンビール京都工場跡地開発として、府下最大の商業施設イオンモールが今年10月の開業をめざして建設されています。すでにオムロンヘルスケアや洛南小学校が落成済みで、京都銀行研修センターが完成間近です。今後、スズキ、トヨタ自動車ショールーム、銀行、医療モール、15階建て高層マンションを含む3000戸の住宅などが建設予定となっています。したがって、今後この地域にヒトやクルマが殺到し、大気汚染の進行が懸念されます(写真1・2・3・4)。
 大気中のSPM、PM2・5、CO2濃度はNO2濃度と相関関係にあるといわれています。
 
地球温暖化を促すCO2も排出する自動車
 私たちの住む京都府で、13年の夏の暑さは異常でした。9月5日に京田辺市で39・9℃を記録し、京都市の猛暑日(35℃以上)は16日連続と戦後最長になりました。9月には台風18号の影響で桂川や由良川が氾濫し、嵐山や伏見区、福知山市が水害に見舞われました。10月伊豆大島の台風26号による土石流の発生を代表に、冬の大雪、夏の猛暑・豪雨、竜巻など天変地異は日本各地で、また11月のフィリピン・レイテ島に壊滅的な被害を与えた台風30号、オーストラリアの干ばつ、中東での降雪、ヨーロッパ、米国での異常多雨など、地球規模でみられました。数々の異常気象につき、専門家は地球温暖化対策を急ぐ必要があると指摘しています(表5)。
 国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPPC)は13年9月27日、地球温暖化について世界の科学者の知見を集めた第一作業部会の新たな第5次報告書を公表しました。12年の日本の温室効果ガスの総排出量は13億4100万トン(二酸化炭素換算)であり、京都議定書の規定による基準年(1990年)の総排出量(12億6100万トン)から6・3%の増加となっています。また、前年度と比べて、2・5%(3320万トン)増加しています。前年度と比べて排出量が増加した要因は、節電が幅広く実施されたにもかかわらず、東日本大震災以後の火力発電の増加により化石燃料消費量が増加したことなどがあげられます。地球温暖化は待ったなしの課題です。
 地球温暖化を防止するため第19回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP19)が、13年11月末に、ポーランド・ワルシャワで開催されました。15年までに世界の排出量のピークを迎えられるよう、15年法的枠組合意に向けての作業をどうするか、20年までの排出削減を強化する行動の引き上げを図る交渉をすることが決められました。また、20年までに年間1000億ドルの資金を拠出するよう先進国に強く求めました。今会議で、日本政府は以前鳩山首相が国際公約した20年25%削減を撤回し、05年比3・8%減(京都議定書基準90年度比3・1%増、削減目標比9・1%増)を発表しました。途上国から厳しい批判を浴び、不名誉な化石賞を受賞しました。
 温室効果ガスには、二酸化炭素(CO2)をはじめ、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、フッ素化合物などがあります。温暖化の寄与度はそれぞれ、63%、18%、6%、13%となっています。そのうち「運輸部門」はCO2排出の15〜20%を占め、その9割弱が自動車によるものです。大気中に自動車によってばらまかれるのは大気汚染物質であるNO2や浮遊粒子状物質だけでなく、CO2も排出され、地球温暖化に一役買っています。ガソリン1に対し2・3�のCO2を排出します。
 クルマは人やモノの移動手段として、社会や個人に多くの利便性を与えてきました。しかし反面、人々の生命・健康・安全を脅かす存在として、交通事故、道路渋滞、環境破壊(大気汚染、騒音、振動など)、石油消費、空間占拠など多くの負の側面も抱えました。道路建設にも多くのCO2排出を伴います。政権交代で、またまた公共事業が増え、自然・環境破壊の高速道路建設が計画されています。12年12月に高速道路笹子トンネルの崩落事故に代表されるように、道路や橋の老朽・劣化も進んでいます。この冬の記録的豪雪で多くのクルマが立ち往生し、住民が孤立しました。そろそろ、「クルマ社会」からの脱出をはかる時期にきていると思われます。
 
おわりに
 これまで12回にわたって、京都府内の会員の皆様のおカをお借りして、NO2測定大気汚染調査を行ってきました。10年あまりの結果からは、大気汚染は府・市内で平均化し、びまん性に拡散しています。
 近代文明は、科学・技術の進歩とヒト・モノ・カネのグローバル化で地球資源を開発、採取し、作り替えることで、物質的豊かさを追求してきました。その結果、自然環境を破壊し、地球資源の枯渇、生物多様性の消失、地球温暖化などの災厄を招きました。
 私たちは生命や健康を守るために、また次世代へ残さねばならない地球環境持続のために、小さいながらも具体的な日常行動の積み重ねが重要です。そして3・11を経験した今、化石燃料、原発に頼らない再生可能エネルギーへの転換、省エネ、環境に負荷をかけない生活や社会への転換を求められています。これまでのご協力にあらためて謝意を表しますと共に、今後の測定にもご協力をお願い申し上げます。
 
 
表51890〜2010年の世界気温変化(気象庁による)
 
世界の年平均気温偏差
1981〜2010年平均からの差(℃)
2本の実線のうち1本は5年平均、もう1本は120年の平均上昇率を示す
 
 
写真1:今年10月開業予定の、建設中のイオンモール、写真2:道路を挟んだ向かいにある巨大な駐車場の建設、写真3:渋滞が予測される、イオンモール前の東海道線路下の地下道、写真4:完成間近の京都銀行研修センター

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