綾部・福知山医師会と懇談
2月2日 福知山市中央保健福祉センター
実態軽視の在宅誘導に疑問
綾部・福知山医師会と協会の懇談会が、2月2日に福知山市内で開かれた。出席は、綾部から3人、福知山から8人、協会から5人であった。
懇談は福知山医師会・牧野吉秀理事の司会で進行。まず、福知山医師会の尾嘉興会長から「政治を語らずして医療は語れない。本日は活発な意見交換を願いたい」と挨拶があった。続いて協会から関理事長が挨拶を行い、その後、各部会の情報提供、「三党合意の結果成立した『社会保障制度改革推進法』の問題性」「韓米FTAに学ぶTPPの問題」について話題提供した。
意見交換では、社会保障制度改革推進法に関連して、地区から「施設から在宅へ」の方針は現場を知らない厚労省の発想だろう。問題があると思うと発言があった。これに対して協会から、改革の方向性として示されているイメージ図から「施設」が消え、代わって自宅やケア付き高齢者住宅が描かれている。中丹医療圏では現在、施設の整備、増加がうかがえるが、将来的には変えざるをえない状況になるだろう。一方で、京都市内ではサービス付き高齢者住宅が建設され、要介護者が入居している。そこには、同住宅の関連医療機関の医師が訪問診療し、そのため地域の他の医師は蚊帳の外に置かれているとの問題点を指摘した。
また、地区から2012年度介護報酬改定で、介護老人保健施設における在宅復帰率・病床回転率を指標とした「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」が新設されたが、在宅復帰のカウントには、死亡退所や他医療機関への転院も含まれるのかとの質問があった。これに対して協会は、死亡退所や転院は含まないとした上で、その加算は老健施設の入所者が対象である。元来老健施設は中間施設・通過施設として作られ、入所期間は3カ月あるいは6カ月といわれていたが、特に明確な規定があったわけではない。最近は長期化し半ば「終の棲家」になりつつある。そういう状況に対し、病院と同様の回転率を評価対象に加え、元来のあり方に戻そうと誘導している状況だと解説した。
その他「TPPの問題」を十分に説明せずに「参加する」か「しない」かの二者択一的な選択を迫っていることの問題、地域包括ケアに係る多職種連携問題、震災募金の収支報告についても話題に上がった。
最後に綾部医師会の米谷博夫副会長が「各テーマで分かり易く解説いただいた。今後の医療活動の一助としたい」と閉会の挨拶を行った。その後、会場を移して懇親を深めた。