私の趣味 ヌーベルバーグを語る会  PDF

私の趣味 ヌーベルバーグを語る会

 
中嶋 毅(東山)
 
 私には、ひとさまに「趣味です」と言えるようなものはありませんが、「趣味もどき」程度なら、その一つに、往年のフランス映画好きの友人達が集まって作った「ヌーベルバーグ(正式にはヌーヴェルヴァーグ)を語る会」の主宰があります。
 私は中学高校時代から映画が好きで、16歳の時は、1年間に100本以上の映画を観ました。ビデオのなかった頃ですが、祇園会館や朝日会館のような、古い名画をやってくれる映画館があったお蔭もあって、日曜日は映画館で3本立てを随分観ました。
 いつしか、ハッピーエンドが約束されたハリウッド映画よりも、名状しがたい余韻の残るフランス映画に惹かれるようになり、ヌーベルバーグの存在を知りました。
 私自身の好みはヌーベルバーグとは少し異なるものでしたが、ただ、ゴダールやトリュフォーのヌーベルバーグが、異なる派のフランス映画監督たちをも刺激して、随分、観ていて面白い、感性豊かな作品群が生まれたことは間違いありません。ルネ・クレマンやメルヴィル、そしてクロード・ルルーシュの作品などはそのよい例です。
 そうこうして、高校や大学の同級生の映画好きと酒好きが集まって、こんな些末な素人の知ったかぶり集団ですが、映画談議でわいわい言いながら、飲む会を始めました。一時中断していましたが、また、50歳代になった頃から再開し、年1回程度ですが、今に至っています。
 みんな、映画も酒も肴も微妙に好みが違うから、それがまた面白いのですが、世代は同じですから、CGやアニメに席巻された感の否めない今の映画には、一様に寂しさを感じています。ヌーベルバーグに代表される若々しい感性に触発されて映画好きになったのが、今や、昔の映画や映像を懐かしむことが多くなったのは皮肉です。私たち自身が「ヌーヴェル」ではなくなった証拠なのでしょう。歳はとりたくないものです(苦笑)。

ページの先頭へ