現場に即した医療事故調の創設を 日本医療法人協会のガイドライン案に賛同表明  PDF

現場に即した医療事故調の創設を 日本医療法人協会のガイドライン案に賛同表明

 現在、厚生労働省は「医療事故調査制度の施行に係る検討会」を開催し、医療事故調査制度の創設に向けて着々と準備を進めている。協会は、医療安全の維持、向上のためには医療事故の原因究明、および再発防止策の制度は必要と認めつつ、その制度が決して医療従事者の責任追及には及ばないようにと主張してきた。一方で、2014年10月に出された日本医療法人協会のガイドライン案は、「WHОガイドライン草案」に準拠した内容と評価。談話にて賛同の意を表明し、2月23日付で厚生労働省に届けた。

談話 医療従事者の責任追及と切り離した事故調査制度の構築を

 京都府保険医協会は、1959年から医療安全に取り組んできた。1968年度には全国に先駆け「医師賠償責任保険」を組織的に導入し、現在まで2200件以上の紛争に対応し、その殆どが解決に至っている。
 また、医療安全の概念が医療界において、いまだ一般的でなかった1990年代半ばから紛争予防にも具体的に会員医療機関を啓発し、今日もなお京都府内に留まらず、全国の医療団体や病院等から講師派遣の要望に応じている状況である。
 本年10月から医療事故調査制度が始まろうとしている。目的は医療事故の原因究明と再発防止とされているが、予期せぬ死亡事故の定義や調査結果報告書を紛争処理の材料として使えるか否か等の問題は、現在、厚労省内の検討委員会で鋭意協議が重ねられており、この3月にガイドラインとして省令の公布が予定されている。以前より、医療安全の維持、向上のために医療事故の原因を究明し、再発を未然に防止する制度の必要性が議論されてきた。
 しかし、この制度は医療従事者の責任追及に迫るシステムであってはならない。京都府保険医協会としてはこの点を強く主張し続けているところであり、2005年に提唱された「有害事象の報告とそれに学ぶシステムについてのWHОガイドライン草案」は、「当事者の責任追及」と切り離した「医療事故調査制度」といえる。
 昨年10月に日本医療法人協会の「現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会」の最終報告書が出され、厚労省の検討会に資料として提出されている。この報告書は、㈰患者さんが死亡した時、迅速にすべきことは遺族への対応であること㈪法律に即した内容であること㈫医療安全の確保の目的に徹して、責任追及を行わないこと㈬非懲罰性・秘匿性をうたった「WHОガイドライン草案」に準拠すること㈭院内調査が中心で、地域・病院の特性に合わせること㈮本制度により医療崩壊を招いてはならないこと を骨子として書かれており、当会が支持する「WHОガイドライン草案」に準拠した内容と評価できる。
 当会は、2015年2月10日第16回理事会においてこの日本医療法人協会のガイドライン案に賛同することを確認し、ここに報告する。
 2015年2月23日
 副理事長 林 一資

ページの先頭へ