提供体制改革に向け医療者の「統合管理」狙う仕掛け進む
医療介護総合確保推進法に基づく医療・介護サービス提供体制改革をめぐって重要な方針が国の審議会で相次いで決定に向かっている。すでに2014年から病床機能報告制度がスタートし、「川上改革」=入院医療改革が推進されている。
6割超が急性期を志向
厚生労働省が公表した病床機能報告の結果によると、6年後の医療機能を高度急性期・急性期とする選択が6割を超えている(図表1)。地域(二次医療圏≒構想区域)における必要病床数を機能別に定めるのが都道府県地域医療構想であり、実際の必要量をどのように設定するかは、地域の医療需要をどう見込むかによって大きく左右される。しかし、全体として急性期・高度急性期を志向する医療機関が多いことを示す結果であり、これをどのように機能分化していくか(例えば回復期へどのように移行させるか)が課題となることは間違いない。この課題の解決は易しくない。仮に急性期を志向する病院のうち、どちらかを回復期に転換させるということは、その経営戦略の根本にかかわる問題であり、都道府県が構想する医療提供体制の姿を目指すとき、恐らく最大の課題となるだろう。
医療機能分化を協議で解決?
この問題の解決について、国は概ね大きく二つの方向性を提示しているといってよい。一つは、「地域医療構想調整会議」である。これは当初「協議の場」と呼ばれていたものであり、厚労省が2月12日に示した「地域医療構想策定ガイドライン案」に盛り込まれた。地域医療構想調整会議は、地域医療構想の策定後、都道府県によって構想区域ごとに設置され、「病床機能報告制度による各医療機関の報告内容と地域医療構想で推計された必要病床数とを比較し、地域において優先して取り組むべき事項について協議する」ものである。「例えば、ある構想区域において、回復期機能の病床が不足している場合、それをどのように充足するか」を関係者が集まって協議するという。この会議に参加を要請されたにもかかわらず参加しなかった関係者に対しては、都道府県知事が当該医療機関の開設・増床等に条件を付す等のペナルティを与える。しかし、現実問題として、本当に話し合いで解決する問題なのかとの疑問は拭えない。
巨大法人で医療提供の統合狙う
そこで、もう一つの提案である「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」に注目が必要となる。これについては、名称を「地域医療連携推進法人制度」(仮称)と改めた上で、その創設を盛りこんだ医療法改正が、開会中の通常国会に提出される見込みである。これは、医療から介護まで、様々な法人を傘下に収める巨大法人を作り、二次医療圏を事業地域範囲とし、単位で一体的にサービス提供させる構想である。
いずれの手法を見ても共通するキーワードは「統合」である。地域の医療者を地域医療構想の実現に向け、全員参加させる方向へ突き進んでいるのである。