患者・住民に喜ばれる医療テーマに医療研 京都からはNO2測定調査を報告
「患者・住民に喜ばれる医療をめざして」をテーマに第25回保団連医療研究集会が10月9・10日の二日間にわたって東京・都市センターホテルで開催され、全国から医師・歯科医師・コメディカル等470人が参加した。京都からは垣田副理事長、飯田理事、山本昭郎環境対策委員が参加。
初日の記念講演は、「人は人に癒される」をテーマに全盲のイラストレーターのエム・ナマエ氏が講演。絵本画家として活躍しながら37歳で糖尿病により失明。加えて余命5年の宣告を受けるなかで、今を生きることを目標に家族や医師の支えを得て、余命宣告から25年を生きてきたことを、非常に明るく随所に笑いを織りまぜながら語った。
二日目午前の分科会では、京都協会の環境対策委員会で取り組んでいるNO2濃度の測定調査結果について、山本環境対策委員が報告した。すでに本紙で報道の通り、全般的には雨の影響が強く低い値となり、経年的には最高値は低下傾向が見られるものの、逆に最低値の上昇が顕著で、汚染が京都府全般に及んでいる。理由としては、道路整備が進んだことや高速道路の利用促進策が進められていることが考えられ、北部等の汚染が少ないきれいな地域は消滅しつつあることが明らかとなっている。それを踏まえて、京都府で進められている高速道路建設の問題点や、梅小路公園で建設が始まった京都水族館の問題点について報告した。垣田副理事長は在宅医療・介護の分科会で司会を務めた。
二日目午後は「認知症高齢者の介護と人権」「日常診療における医療連携を促進するために」の二つのシンポジウムと、市民公開企画「『戦争と医の倫理』を検証する」が開催された。市民公開企画では三氏が発言。京都民医連中央病院院長の吉中丈史氏が「十五年戦争における日本人医師の戦争医学犯罪」と題して主に旧日本軍731部隊の犯罪行為について。上野メンタルクリニック院長の小俣和一郎氏が「戦争医学犯罪の戦後―日本とドイツにおける歴史検証を比較する―」と題して日独の戦後検証史の比較研究について。現代医療を考える会代表・やまぐちクリニック院長の山口研一郎氏が「医療倫理の確立のために不可欠な歴史検証」と題して、戦後医療において薬害・医療被害が繰り返され、現在も脳死・生命工学などの倫理的問題が山積する中、免責された戦時中の医学犯罪を徹底的に検証する必要性について、それぞれ報告した。
同時に、第21回全国保険医写真展が開催され、入選17作品が展示された。京都からは伏見の栗原眞純先生が入選に選ばれた。
発表する山本委員