左京医師会と懇談
1月17日 ウェスティン都ホテル京都
新専門医制度の疑問点次々と
協会は1月17日、左京医師会との懇談会を開催。左京医師会から20人、協会から7人が出席した。懇談会は左京医師会副会長の赤木太郎氏の司会で進行。最初に左京医師会会長の山際哲夫氏は「安倍政権はデフレ脱却のために、第一の矢として金融緩和、第二の矢として機動的な財政政策を放ち、株価および大企業の業績はアップしているところもある。経済指標も回復しているが、昨年末発表の経済成長率は2四半期連続のマイナスとなった。また、消費税率10%への引き上げは1年半延期された。増税の是非はあるが、消費税増税をあてにした社会保障費の財源が圧迫される結果となる。この財源では少子化対策、医療、介護等の社会保障政策への手当が非常に困難になってきている状況だ」とあいさつした。それを受けて垣田理事長があいさつ、続いて協会から各部会の情報を提供するとともに、「医療・介護提供体制と医療保険制度の一体的改革」、「新専門医制度と総合診療専門医」の解説を行った。
意見交換では、新専門医制度について、地区から「現在の我々の専門医資格がどうなるのか」との質問が出された。協会は「新専門医制度の新規取得では、診療実績の基準を設けて、経験症例の種類と数等が要件とされる。しかし、すでに専門医を取得した医師の更新の場合、高いハードルを設けるのは現実的でないので、新規取得と更新では、診療実績に関する考え方が変わり得るとのニュアンスが示されている。外科系学会では、共通の症例データベース、NCD(National Clinical Database)で把握することが可能だが、内科系学会には診療実績を把握する仕組みがない。実際に仕事をしている我々から発言していくべきだ」と回答した。また、地区から「総合診療医制度はこれから研修医になる人の話であって、50歳以上の医師にとっては関係ないことなのではないか」との意見が出された。協会は「新専門医制度は、専門医資格の更新や標榜科目等、我々にも関係があると思う。若い医師の動向にも深く関係する。今後の医療制度に大きな影響を及ぼす改革だと思っているので、しっかり意見表明していくことが必要だ」と回答した。
保険者による直接審査については、地区から「保険医療機関は審査委員会に守られている。保険者による直接審査に晒されると、コンピュータを活用した予想もしない減点が行われる可能性がある。この問題について、もっと危機感を持ってもらいたい。官僚を動かすのは非常に難しいので、彼らに届くよう方法を考え、要求を絞ることが大事。既得権益を守ってほしい」との意見が出された。協会は「その通りだ」と回答した。
地域包括ケア病棟においてリハビリテーションが包括化されている問題については、地区から「納得できない」との意見が出されており、協会は「保団連が2014年8月に厚生労働省に対して実施した不合理是正要請において、包括範囲から外すよう要請した」と回答した。
その他、資料のペーパーレス化、懇談会での協会のプレゼンテーションの簡素化について意見交換した。