地域の第一線医療担う 開業医の復権目指して
理事長 垣田さち子
明けましておめでとうございます。
ここ数年の京都の自然災害も昨年は治まり、皆様には良き新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
一昨年に成立した「医療・介護総合確保推進法」により、介護保険については、昨年度第六期の見直しが行われ、要支援者のサービスは地域支援事業に移行、特養の入所基準は要介護3以上に制限、一定以上の所得のある利用者の自己負担が2割に上がるなどの変更がなされました。
介護保険制度開始年度の総費用は3・6兆円でしたが、2014年度にはついに10兆円を超え、保険料も全国平均2911円だったのが5514円となりました。
医療分野では、団塊世代が後期高齢者となる2025年の医療提供体制を視野に入れて、各病院・有床診療所から病床機能報告がされ、これに基づいて2016年半ばを目指し、京都の「地域医療構想」が策定される予定です。
京都は病床数が多いのですが、府民にとっては、長年に渡って医療に携わる諸先輩が築いてこられた有り難い財産であり、国がいうように、入院すると医療費が嵩むからという経済優先の観点から、単に削減したらよいというものではありません。
在宅でも、療養生活が送れる環境を地域毎に整えていくことはこれからの目標ではありますが、何かの時にはすぐに入院でき、プロの医療職による手厚い治療を提供できるという安心感は、地域の第一線医療を担う開業医にとっても大事です。
京都においては、北部・南部の医師不足が言われながらも、二つの大学病院をはじめとする公的病院、私立病院、診療所が相互に連携を心がけ府民の健康を守ってきました。
私たちは、地域の患者さんに求められ、選ばれて、その期待に応えるべく医師としての自らの力量を磨き努力しています。国民皆保険制度のもと、高い職業倫理に基づく自由裁量権を保障され、現物給付・出来高払いで医療を提供しています。3割の自己負担分が高くて払えるかどうかの心配以外に、患者さんとの間を邪魔するものは何もありません。
日本中どこでも自由に開業でき、そこで責任を持って望む医療を提供できることが、日本の開業医のモチベーションを高め、地域全体の医療の質の向上に貢献してきたのです。
再来年度から始まる「新専門医制度」は、医師を管理し統制するためのツールになるのではないかと危惧しています。専門職から自由を奪うと、ろくな結果を招きません。
本年も、理事・事務局一同、力を合わせて邁進致しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
会員の皆様にも、ご健勝で幸多き一年でありますよう祈念致します。