伏見医師会と懇談  PDF

伏見医師会と懇談

10月6日 伏見医師会館

国の進める地域包括ケアに異論

 協会は10月6日、伏見医師会との懇談会を開催した。地区から12人、協会から5人が出席した。懇談は、中山治樹副会長の司会で進行。

 冒頭、依田純三会長は、「医療崩壊は着実に進んでいる。医師会内でも病診連携を図るべく意見交換会などを行っているが、診療所や中小病院は、医師・看護師不足、経営悪化などが原因で24時間対応が難しい事態となっている。保険医協会はそういった我々の意見をくみ取り、地道に活動を続けてこられた。今回の懇談会でも、なんらかの示唆が与えられればと思う」と挨拶した。

 意見交換の中で地区から、地域包括ケアと医療のあり方について、「国の考える地域包括ケアシステムは、医療ではなく、介護を中心に構想されている。今後、医療の領域は狭められ、開業医も先進医療や救急にシフトさせられるのだろうか」との意見や、「75歳でもがんを患うことは十分考えられる。医療分野が抜け落ちているこのシステムは、制度として不備がある」といった意見があった。

 また、特養の嘱託医をされる医師からは、「介護職員も疲労困憊で限界にきている」と、独居老人、老老介護、認知症患者の増加による介護現場の窮状を述べ、「医療側だけではなく、介護側の意見も十分に汲み取り、運動に生かしていただきたい」との要望があった。

 それに対し協会から、地域包括ケア研究会での内容にふれ、「議論の中心は『介護サービスを軸にした地域包括ケアの確立』と『制度の持続可能性』であり、高齢者医療をどのように保障するかといった議論にまで及んでいない」と指摘するとともに、「詳細を詰める中で、医療も必要になることは間違いないが、少なくとも急性期と維持期に特化されるだろう」と述べ、改善を求める考えを示した。

 また、消費税増税と薬価について地区から、「消費税が10%に増税すれば、薬価はどうなるのか」との質問があり、協会から、「消費税が10%になっても、薬価は原則として上乗せされることになっているため、理論的に損はしない。しかし多くの在庫を抱えている場合には損失が発生することが考えられる」と回答した。損税は医院経営を苦しめるものの一つである。我々は国を相手取り、過去3年分に納めた消費税の損害賠償を求める訴訟(兵庫県)の行方に注目している。

 その他、保険診療における自浄作用と適正な医療の確保について、京都府保険医協会理事の任期などについても意見があった。

17人が出席して開かれた伏見医師会との懇談会
17人が出席して開かれた伏見医師会との懇談会

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