主張/貧困率等地域の状況を調査し地域医療構想へ反映を
病床機能分化をはじめとした「川上の改革」としての病床機能報告制度と、地域医療構想が進められている。
病床機能報告を受けた都道府県は、地域医療構想を策定。構想には二次医療圏での各医療機関の医療の必要量を設定し、医療提供体制を決定する。2025年の「医療需要」と「医療の必要量」の推計方法は政府が示した「医療・介護に係る長期推計」をもとに議論を進め、2025年に目指す医療の必要量=供給体制にしていく。この推計するための情報として使われるのが、病床機能報告制度のデータ、レセプト情報、特定健診等のデータ、DPCデータ、そして介護保険データなどである。しかし、これらのデータは、そもそも医療機関を受診した患者のデータであり、真に地域に必要な医療の必要量を示したものではない。受診したくても受診できない国民が増えている中、さらには今後消費税増税等によってこういった人々が増えると予測される中、本当の意味で医療の必要量を決めていくにはそういった人々、貧困率等の地域が置かれている状況をしっかりと調査し、どのような医療政策が必要なのかを判断して、地域医療構想に反映させていくことが必要である。
また、これら「川上の改革」は病院だけの問題ではなく、地域医療を守る開業医、診療所にも影響を与える。これら「川上の改革」の先には、「診療所機能報告制度」などが出てきてもおかしくない。現在も「京都健康よろずネット」で診療所の情報が集約され公開されているが、これに病床機能報告制度のように、6年後、2025年の診療所の機能を報告させることで、今後の診療所の動向が明らかになる。これを利用して、医療機関の適正配置が進められ国民皆保険制度の根幹である自由開業医制度、フリーアクセスの制限につながっていく可能性もある。またこういった適正配置に総合診療専門医を含めた新しい専門医制度が利用されることも考えられる。今後こういったことも含め、医療提供体制改革を注視していくことが重要である。