主張/京都府保険医協会の医療安全対策の特徴
京都府保険医協会の医療安全対策は、昨年度に50周年を迎えた。この歴史のなかで、京都府内では最多といえる2千数百件の医事紛争に対応し、そのほとんどを解決に導いてきた。51年目の今年度は初心に戻り、今まで以上に会員の皆様に役立つ医療安全対策を講じていきたいと考えている。
協会の医療安全対策の特徴をいくつか挙げてみると、第一に早くから医師賠償責任保険を導入したことがある。医事紛争解決には、医師による医療・医学的調査や適切な患者対応はもちろんであるが、これに加えて医師賠償責任保険が必要不可欠となってくる。協会の医師賠償責任保険は、日本医師会のそれに先駆けること5年の1968年(昭和43年)に導入された。これは全国的に見ても最長の歴史を持つ医師賠償責任保険制度のひとつである。協会の医療安全対策チームと保険会社が、有機的に繋がって機能することにより、医事紛争の解決時間が短くなる。実際、他の団体が対応するより、協会が対応した方がより短時間に解決しているというデータがある。
次に、医事紛争解決までの費用面でも協会での対応が有利である。医療裁判となれば時間と労力以外に多額の弁護士費用がかかる。協会は極力、医事紛争が裁判に至らないように努力し、最小限の費用で患者と話し合えるように環境整備をしている。具体的には専任理事による医療機関との面談を行い、続いて専任理事、調査委員、弁護士と保険会社担当者による調査委員会を開催している。その後、これらのメンバーと府医師会担当理事による医師賠償責任保険処理室会を行って、対処方針を決めている。
さらに協会は、医事紛争対応のみならず、紛争予防についても長く啓発してきた経緯があり、医療法で規定された医療安全研修も行うことができる。この研修会は他府県からも講師依頼が絶えない状況にある。もちろん、京都府内での開催はいつでも可能である。
以上のことから、万が一に会員が医事紛争に遭遇された場合には、ぜひとも、協会に一報をいただきたい。解決まで、会員各位をサポートする所存である。会員の皆様には困ったときには常に協会が付いていると思っていただきたい。利用してこそ、また利用されてこその協会であると考える次第である。